トランジションバスケを展開し立ち上がりから主導権を握る
秋田ノーザンハピネッツvsサンロッカーズ渋谷の第2戦は、92-60で秋田が勝利した。
激しい守備、トランジション、素早く攻める。この3つを徹底した秋田が、立ち上がりから自分たちのペースで試合を進め、全員がよく走り、素早くリングにアタックすることで立ち上がりを9-0とした。ディフェンスでは全員がSR渋谷にプレッシャーを与え、ミスを誘っては自分たちの得点へと繋げていく。スティール、もしくはタフショットを打たせてはリバウンドからのアップテンポな展開を繰り広げることで、前半だけでSR渋谷から13本ものターンオーバーを誘発し、そこから19得点を挙げ、前半を49-32とリードした。
対するSR渋谷は頭から秋田のペースに呑まれ、攻守ともに上手くいかない。それでも、第2クォーターの中盤で秋田がゾーンディフェンスを敷いた際に、あえて時間をかけて攻めることで相手のリズムを崩し得点を挙げることに成功した。しかし、SR渋谷はペイントエリア内からの得点が続いたのに対し、秋田のジョーダン・グリンに3ポイントシュートを立て続けに許し、点差を縮めることができなかった。
49-32と秋田のリードで迎えた後半。またしても秋田が立ち上がりからゲームを支配する。SR渋谷にプレッシャーをかけてミスを誘い、相手にリズムをつかませない。また、速いバスケだけでなく、ハーフコートでも全員がオフボールでしっかりと動くことでスペースを生み、ガード陣が積極的にペイントアタックしてオフェンスを活性化させた。
中でも今シーズンから加入した川嶋勇人は、持ち前のハンドリングを生かしてディフェンスを揺さぶり、仲間のシュートチャンスをメークするなどチームに勢いを与えていく。こうして秋田は後半の出だし約5分間で13-0のランを決めてリードを広げ、第4クォーターの開始3分には保岡龍斗の3ポイントシュートで78-48とし、リードを30点にまで広げてそのまま勝利した。
誰が出ても同じ強度のディフェンスを展開した秋田は、12選手中9選手が1スティール以上を記録し、チームで16スティールを挙げた。また、試合を通じてSR渋谷から26ターンオーバーを誘発し、そこから36得点をマークした。
勝利した秋田の前田顕蔵ヘッドコーチは「非常に大きな勝利でした」と選手を称えた。「昨日の試合から選手たちがよく切り替えてファイトバックしてくれました。ターンオーバーが減り、ディフェンスの質が上がり、リバウンドでファイトしてくれました。選手たちが40分間集中して秋田のバスケを表現してくれました」
伊佐コーチ「二度とこういうゲームが起きないようにチームでやっていかないと」
一方敗れたSR渋谷の伊佐勉ヘッドコーチは「昨日とは真逆のゲームになってしまいました」と肩を落とした。「フィジカルバトルで負けて、ターンオーバーを多く出してしまって、いろいろなメンバーチェンジやタイムアウトをして流れが来るように仕向けたり、選手も一生懸命やっていましたが、あれだけターンオーバーが出るとどうにもならなかったです。稀にこういうゲームがありますが、二度とこういうゲームが起きないようにチームでやっていかないといけません」
両チームともに激しい守備を持ち味としたチームだが、伊佐コーチは秋田のトランジションを前に「準備してきたものが出せなかった」と振り返った。「ディフェンスを激しくやろうと伝えましたが、秋田さんはほとんどがトランジションだったので、そういう話をする以前の問題でした。悪いオフェンスから全部走られてしまい、準備してきたディフェンスができないまま終わりました」
ディフェンスだけでなく、オフェンスでも流れをつかめなかった要因を挙げつつ「何もしてあげられなかった」と悔やんだ。「点差が離れてきた時に、各々が『自分がどうにかしよう』というところから判断が遅れてボールをもらう位置が高くなりました。そこからペイントアタックするにはドリブルが2つ、3つは多くなってしまってタフショット。そして、みんなボールがほしくなってスペーシングが悪くなってまたタフショット。結局なにもしてあげられなかったです」