デイミアン・リラード

31歳になった『チームの顔』を納得させられる結果をどう出すか

トレイルブレイザーズにとってデイミアン・リラードはエース以上の価値があり、NBAでもNo.1の『チームの顔』としての存在感がある。その発言は重く、昨シーズンのプレーオフで敗退した際に「気が滅入るような敗戦だ。何かを変える必要がある」と彼が発言すれば、球団はすぐにテリー・ストッツの解任を決めた。

チーム編成のトップであるニール・オルシーGMは、自分の集めた選手ではなく采配に問題があるのだと考えたのだろうが、これが間違っているとしたら、チャウンシー・ビラップス体制で臨む新シーズンにも結果は出せず、今度こそリラードに見限られることになる。リラードはポートランドに忠誠を誓い、ブレイザーズでプレーすることに大きな責任感を持っているが、この数カ月間で彼が発したサインは軽視すべきではない。

昨シーズン途中に獲得したノーマン・パウエルと5年9000万ドル(約97億円)の再契約を結び、トニー・スネル、コディ・ゼラー、ベン・マクレモアを格安の年俸で迎え入れた。さらには3チーム間トレードでラリー・ナンスJr.を獲得している。昨シーズン終盤、リラードとCJ・マッカラム、パウエル、ロバート・コビントンにユスフ・ヌルキッチの先発5人は攻守に機能していた。問題はセカンドユニットで、カーメロ・アンソニーとエネス・カンターが入るとオフェンスのペースは保ててもディフェンスは壊滅的なものになった。先に挙げた新戦力は爆発力こそないが、リラードを始めとする主力がベンチで落ち着いていられる余裕をもたらす。

リラードがいる時点で『爆発力』はある。ブレイザーズが長年欠いていたのは層の厚さであり、戦い方のバリエーションだ。それがないから、プレーオフに入る時点でリラードは満身創痍であり、攻守の強度が上がるプレーオフで奮闘しても1回戦を突破できるかどうか、というチームであり続けた。

そういう意味で、層は厚くなった。さらにビラップスは就任会見で「ディフェンスを頑張ることは選択肢ではない。一人の例外もなく必ずやってもらう」と強調しており、ロスターを見ても守備に軸足を置くものと思われる。

しかし、ブレイザーズのチーム作りはこれで正しいのだろうか? リラードの発したサインを無視したわけではないが、ずっとリラードとともに戦ってきたヘッドコーチを解任してもチームの骨格がそのまま変わらないことに違和感がないわけではない。層は厚くなったが、タイトル争いを制す上での決定的な補強はなかった。結局のところ、『最後はリラード頼み』のチームであり続けるだろう。

勝てるかどうかは運も大きく左右し、編成が良かったからと言ってチームの勝利が約束されるものではない。ここでの問題は、ブレイザーズが長期的プランに立ったチーム作りをしていないことだ。コビントンとヌルキッチは契約最終年を迎え、スネル、ゼラー、マクレモアは最初から1年契約。今回のチャレンジが失敗に終わればフリーエージェント市場に打って出るつもりかもしれないが、それはチーム作りをまたゼロから始めることを意味する。「どうせゼロから再出発するのであれば新しいチームで」とリラードが思うかもしれないリスクは考慮されているのだろうか。

今オフ、手堅いチーム編成はできた。しかしビラップスの手腕は未知数だし、1年後にはチーム再編を余儀なくされる。リラードが発したサインを受け止めて対応したが、今回のブレイザーズの選択が正しかったかどうかは、レギュラーシーズンで何勝できるか、プレーオフでどんな戦いをするかの結果を待つしかない。