チャイニーズタイペイ

『若きリンサニティ』と評されるタレントを軸に世代交代中

8月31日に行われたワールドカップ予選の組み合わせ抽選で、日本は中国、オーストラリア、チャイニーズタイペイと同じグループに入った。このうち、チャイニーズタイペイとは2月25日と6月30日に対戦することが決まっている。

日本が直近でチャイニーズタイペイと対戦したのはアジアカップ予選で、2020年2月にはタイペイで、そして今年6月には中立地のフィリピンで対戦しており、96-57、98-61といずれも完勝を収めた。新型コロナウイルスの影響が深刻になり始めたタイミングだった昨年2月の試合では、新戦力としてチームに加わったライアン・ロシターと金丸晃輔がともに17得点を挙げ、ロシターは19リバウンドも記録して、それぞれ自身の価値を示した。今年6月の試合でも攻守の強度で上回り、相手を圧倒。オリンピックに向けてチーム内競争が熾烈を極めていた時期で、若手中心のチャイニーズタイペイに大勝を収めた。

最新のFIBAランキングで日本が42位から35位へとジャンプアップしたのに対し、チャイニーズタイペイは1つ順位を落として68位。先に挙げた2試合のスコア、試合内容を見ても差は大きく開いている。

しかし、もう少し時をさかのぼって2018年2月に何が起きたかを忘れてはいけない。2019年のワールドカップ予選ウインドウ2、横浜国際プールにチャイニーズタイペイを迎えた試合で、日本は69-70で接戦を落とした。

3ポイントシュート爆発の辻直人が26得点を奪うも、第4クォーターの大事な時間帯で選手それぞれがボールを持ちたくないかのような消極的プレーになって攻めが停滞。ディフェンスでも強度を保つことができず、オフェンスリバウンドを奪われての失点がかさんで逆転負けを喫した。この直後にフィリピンにも敗れ、予選開始から0勝4敗の崖っぷちへと追い込まれている。

その後、ニック・ファジーカスが帰化選手としてチームに加わり、また八村塁が合流できたことでオーストラリアを相手に『歴史的勝利』を挙げて流れが変わり、大逆転で予選突破に成功するのだが、Bリーグでの切磋琢磨でレベルを上げたからといってチャイニーズタイペイに楽に勝てる力は、少なくとも当時はなかった。

そしてチャイニーズタイペイも若いタレントを軸にチーム強化に注力している。今回のアジアカップ予選は出場16チームの枠をグアムと競り合い、ギリギリですべり込む形となったが、そのグアムとのプレーオフ2試合で50得点を挙げたのが21歳のリン・ティンシェン。2016年のU17ワールドカップで大活躍した新鋭は、NCAA1部のブライアント大でプレーしてカンファレンスのルーキーチームに選出され、翌年から中国リーグの天津でプレーしている。FIBAの公式サイトが『若きリンサニティ』と評する彼を中心に、また力を伸ばしてきてもおかしくない。

それでも日本がこれから世界と渡り合うチームになるためには、アジアの中堅チームであるチャイニーズタイペイに苦戦してはいられない。日本バスケの時計の針を戻さないために、相手へのリスペクトを持ちながらも完勝を収めることが求められる。