千葉ジェッツ、勝利のための戦略(後編)「ジェッツ史上最強のチームで挑みます」

2018/09/05
Bリーグ&国内
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島田慎二

文=鈴木健一郎 写真=バスケット・カウント編集部、千葉ジェッツふなばし

千葉ジェッツは昨シーズン(第8期)の決算情報を発表した。売上高は前年比156%の14億2700万円、経常利益は236%増の8900万円と大きく伸び、天皇杯連覇にBリーグファイナル進出とオンコートで結果を出すとともに、オフコートの経営でも右肩上がりでの成長を続けている。そんな千葉の経営を司る代表取締役社長の島田慎二代表に、好調の背景にある取り組み、今後に向けた展望を聞いた。

千葉ジェッツ、勝利のための戦略(前編)「伸ばすための準備をやってきたつもり」

「常に優勝を狙えるチームとして安定させたい」

──後編では新シーズンに向けたチーム作りについてうかがいます。まず、昨シーズンはオンコートでもオフコートでも結果の出た1年でした。オンコート、つまりチームの戦いぶりについては、どのように評価をしていますか?

昨シーズンの成績はもう過去のことなので忘れていますが、振り返ればアジアのスーパー8で優勝して、アーリーカップで準優勝、天皇杯は連覇してリーグの東地区で優勝、チャンピオンシップで準優勝ですから、すべての大会でファイナリストになり、タイトルも取っている。だからよく頑張ったと思います。

今シーズンは当然、それ以上の成績を目指すのですが、そんなに簡単なものじゃないことも理解しています。だから今後は不確定な勝敗の世界で、少しでも安定性のある戦い方をしていきたいと思っています。「この年は優勝しました、次の年は残留争いでした」みたいなことは避けたい。昔のトヨタとアイシンと東芝、そこに栃木が割って入ってきたような、常に優勝を狙えるチームになって、チャンスがあれば取って行く。長い目で見てそういうチームになりたいです。

ファイナルで負けてBリーグ優勝は逃しましたが、個人的にはプラスに受け止めています。「惜しかった」、「来年こそは」という感情があったほうが私はやりやすい。ファイナルに勝っていたら、天皇杯とBリーグの2冠で、観客動員も売上も1位で、この世の春を謳歌している感じですよね。そうしたらどこかに油断が生まれるし、スポンサーも「そんなに応援しなくていいか」と思ってしまうかもしれません。一番上まで行ったら落ちるしかないわけですから。

──「来年こそは」の意気込みで迎える新シーズン、チームを編成するにあたって軸とした考えはどのようなものでしたか?

2017-18シーズンのマニフェストにあるように、「勝負にこだわり、常に優勝を目指す」、「ブースターが誇れるチームになる」、「アグレッシブなディフェンスから走る」の3つの軸をブレないでやろうと。それは私と佐藤(博紀、GM)、大野(篤史、ヘッドコーチ)、カルバン(オールダム、アシスタントコーチ)、金田(詳徳、アシスタントコーチ)の5人で共通認識を持っています。だから、やろうとしていることは変わらないのですが、昨シーズンにウィークポイントだったところを修正しました。

外国籍選手はギャビン(エドワーズ)は決まっていたので、他の2人をどういうタイプにするべきか、日本人選手ではどういうところが足りないかを議論しました。それで佐藤GMから「こういう選手で」と話がありますが、私がそこで「その選手じゃ勝てないんじゃない?」とは言わないですね。私が言うのは最初の段階で、「これだけの予算を使っていいから絶対に勝ちに行くぞ」とか「妥協するな」とか「ショボい外国籍選手はダメだぞ」とか。自分たちの決めた方針があって、そこに合った選手であれば承認します。

千葉ジェッツ

「前提としてプレータイムは勝ち取れというスタンス」

──外国籍選手は全員がチームのトッププレーヤーなわけですから、その獲得の判断がチーム成績に大きな影響を与えます。今回、エドワーズ選手以外の2人はどういう基準で選びましたか?

まずはメンタルが安定しているかの情報は重視しました。あとはギャビンとどう組み合わせるにしても、走ることができて3ポイントシュートが入る選手ですね。それはウチにポストでインサイドプレーのできる小野龍猛がいるからで、ギャビンともう1人の外国籍選手まで大きなインサイドプレーヤーでは龍猛のスペースがなくなってしまう。龍猛が外から打てる、ポストでも行けるのは、ウチの持っているメリットですから。あとはリバウンドが弱い課題もありました。リバウンドが改善できてアウトサイドの安定性を高めてくれる選手、あとはもっとフィジカルが欲しかった。そうやって決めたのがジョシュ・ダンカンです。

──さらにトレイ・マッキニー=ジョーンズ選手も獲得しました。今回、試合登録できる外国籍選手が2名になるということで、3人目の外国籍選手を取らない考えはなかったですか? 多くのチームが予算の関係もあり、外国籍選手2人体制を取ると思います。

お金云々ではないですね。だって軸の一つが「勝負にこだわり常に優勝を目指す」ですから。ただ注意したのは、3人目はバックアップの3番手ではないということです。マッチアップによって特定の選手の出場が続くことはあるだろうし、結果的に出場機会の比重が変わる可能性はありますが、外国籍選手3人に序列はなく、ローテーションさせることを考えています。その中で「プレータイムは自分で勝ち取れ」というスタンスです。

今回のルール改正を抜きにしても、私は『3番目の外国籍選手』の存在はリスキーだと考えています。外国籍選手の一人が『3番目』の位置付けでほとんど試合に出られない、さらに契約時点でそれをコミュニケーションできていないとしたら大きなリスクで、チームを壊してしまう可能性があります。

──続いて日本人選手ですが、まずは大宮宏正選手から行きましょう。

まず荒尾岳が移籍し、伊藤俊亮も引退して、小野には3番しかさせたくない中でインサイドの日本人選手が必要となりました。とはいえ(マイケル)パーカーがいるので、プレータイムが短い中でもベストを尽くすことができ、チームの競争を理解してくれる選手。その中で実力と人間性を含めて大宮を獲得しました。

──田口成浩選手と藤永佳昭選手は正直驚きでした。1番と2番、特に田口選手の2番ポジションはアキ・チェンバース選手、石井講祐選手、原修太選手と層が厚いからです。

西村(文男)を富樫(勇樹)とのダブルガードで使ったこともありましたからね。でもアキは本当は3番だし、原ももともとは3番のスコアラーで、生粋のシューティングガードは石井しかいません。アキは2番で使っても『3番寄りの2番』なんです。そういう意味でシューターが欲しかった。あとは大野体制で2年間培ってきたものを3年目でもっと熱くさせるために必要なエネルギー、足りなかった明るさ、ムードメーカーの要素も、すべて兼ね備えたのが田口でした。

シューティングガードとして石井など既存の戦力との組み合わせやバランス、雰囲気とかムードも考えたら、ジェッツにとっては田口がベストだと私は考えています。

──なるほど。藤永選手はいかがでしょうか。

藤永はジェッツでプレーしたいという気持ちの強さがポイントでした。ウチには富樫と西村がいるから、プレータイムがないと怖気づいちゃうのでポイントガードが来ないんです。でも彼は、2人がすごいのは分かるけど負けないつもりでいるし、ジェッツを優勝に導くために、という気持ちで来てくれました。高校からずっとキャプテンで、自分から引っ張っていくエネルギーがあります。それに富樫は自分で得点を取りに行くタイプだし、西村も富樫がいるからコントロールをやっていますが、本来は自分で行きたい選手です。藤永は生粋のポイントガードなので、そういう意味でもバランスは良いはずです。

千葉ジェッツ

「どのチームと比べてもバランスは良いと自負しています」

──そう考えると夢が広がりますね(笑)。

そうでしょう。夢が広がるようなことばかり言ってますからね(笑)。でも12人か13人の中でバランスを取れたチームを作ることが大事で、すごい代表選手が3人いるとか、強烈な外国籍選手がいるのではなく、天皇杯とチャンピオンシップも入れたら70試合から80試合ある長いシーズンを戦い抜くという意味で、多分どのチームと比べてもバランスは良いと自負しています。

──すべてを勝ち取るための陣容が整った、と自信を持って言えるチームになりましたか?

私は毎年、ジェッツ史上最強のチームを作ろうと思ってやっているんですよ。bjリーグ1年目の成績はひどかったですが、2年目は1年目より良いチームになってプレーオフに出場しました。次はNBLに行って龍猛とかを獲得したんですがボロボロで、次の年は勝たなきゃいけないと西村やJB(ジャスティン・バーレル)を取ってもう少しまともなチームになって。その次にジェリコ(パブリセヴィッチ)を呼んで岡田(優介)や富樫を獲得しました。それでBリーグの1年目でレベルアップしなきゃいけないと、パーカーとかを入れてレベルが上がって、昨年にはギャビンを獲得して、それで今年です。

皆さんがどう評価するかは分かりませんが、私の中では7年連続でチームのレベルが前年より落ちたことはないんです。成績は別で、結果が出なかったシーズンもありましたけど「前のシーズンより絶対強くなる」というチーム編成をして、応援してくださる皆さんに対する責任を果たしてきたつもりです。

だから今年が8年目で、昨シーズンは天皇杯を連覇してBリーグのファイナルに行きましたが、今のこのチームのほうが上だと思っています。相手もレベルアップしているから、負けるという結果もあるかもしれません。それでも開幕前の今だから言えることとして、ジェッツ史上最強のチームでBリーグの3年目に臨みます、というのは自信を持って言えます。

私がこれだけ自信を持って言うのだから、皆さんもテンション上がってくるでしょう。だから皆さんも是非、アリーナに足を運んでください(笑)。