バスケ大国の下部組織で頭角を現す岡田大河(後編)「激しい競争の中で自分が遠慮して一歩引くようでは負けになる」

バスケ大国の下部組織で頭角を現す岡田大河(後編)「激しい競争の中で自分が遠慮して一歩引くようでは負けになる」

2021/09/18 12:00
岡田大河

岡田大河は今年17歳、日本の高校に進んでいれば今が2年生のポイントガードだ。15歳でスペインに渡り、マドリッドのプロクラブ、セントロ・マドリーのカンテラ(下部組織)でプレーしている。彼の父は『静岡ジムラッツ』代表を務め、様々な形で若い選手たちに世界挑戦のきっかけを提供してきた岡田卓也。ジムラッツは『体育館に住むネズミ』の意味で、ずっとバスケ漬けの生活を送る選手を意味する言葉だ。世界に通用するバスケ選手を育てるためには早くから海外を経験すべきだという父の下、岡田大河もバスケ漬けの生活を経て日本を飛び出した。2年目のシーズンは2つのカテゴリーを飛び級してジュニアAでプレー。マドリッド州の決勝でレアル・マドリーに敗れるものの、チーム初の全国大会出場の立役者となった。さらなる飛躍を目指して3年目のシーズンをスタートさせようとする大河に、その意気込みを聞いた。

「コートの中は戦場だと、僕も何度か痛感しました」

──スペインの選手と日本人の選手の違いはどこだと思いますか?

スペインの選手は育成世代から全員にハングリー精神があります。名門クラブだとU12やU15から評価されなければチームから外されてしまうので、みんな毎日の練習からポジション争いでの競争心がすごく激しいです。「コートの中は戦場」だと僕も何度か痛感しました。もちろん、コート上ではリスペクトも大事ですけど、甘い気持ちがあったら簡単に潰されちゃったりするので、そこはこの1年間で学んだことでもあります。

──NBAのキッズキャンプで、他の日本人選手は一番後ろでドリルをやっているのに、岡田選手だけが最前列のド真ん中にいたのを思い出します。日本人はアピールは苦手ですが、あの時はどんな気持ちで行動していたんですか?

せっかく海外に来ているので、少しでもいろんな経験をしたい、そのために目立ちたい。目立つことで周りより一歩先に見てもらえて、コーチからアドバイスがもらえれば自分の得になると思っていました。少しずつでも自分からコーチにアピールする姿勢は大事だと思います。

──そういう経験も踏まえて、日本の小中学生のプレイヤーにどんなアドバイスを送りますか?

小学生や中学生はどんどん失敗して学んだ方が良いと思うので、自分からどんどん挑戦してほしいです。

──岡田選手がスペインに来てから今までで、一番大きい壁は何でしたか?

上のカテゴリーに飛び級で呼んでもらって練習に行った時、控え目にプレーしていたらパスが来なくなっちゃうのでガツガツやろうと思っていたんですけど、僕のことを良く思わない選手が出てきました。同じポジションという競争意識と、自分より年下だし身長も低いし、日本人だからということもあったと思います。その選手は体格も良くてフィジカルも本当に強い、そのチームのメインのポイントガードのような選手なんですけど、すごく対抗心を出してきました。練習中も僕がミスをするとボロクソに言って、同じチームなのに「こいつにパスするな」とチームメートに言うとか。そんな状況で自分がコートの中でどう見返すか、それが練習のたびにあったので、その選手にはすごく良い経験をさせてもらったと思っています。

──それはどういった行動で見返したんですか?

「パスを出すな」と言っても、5人でプレーするのだから絶対にパスが来ないことはありません。オフボールで良い位置に動いて自分がフリーになれば誰であってもパスせざるを得ないので、自分でそういうスペースを作ることです。ボールを持ったら引き下がらずにやっていました。それを続けていたら最後の方はしっかり認めてくれたんですけど、そこで遠慮して一歩下がるようなことがあれば、もう負けになっていたと思います。

そこで自分が折れずにプレーする、自分がゲームメークしてチームに点を取らせる。コントロールできずにミスで終わっていてもダメなんですけど、しっかりチームに決めさせたり、自分が大事なところで決めたりと結果を出したことで認めてもらえました。

「ホームシックにもならなかったし、バスケの面では全然問題なかった」

──大人の選手でも海外の知らない環境の中でそれだけのことをやるのは大変ですよ。海外に一人で行って、バスケをやる上で大変だったりとか、私生活でホームシックになったりとか、大変だったことはありますか?

あまりなかったですね。バスケはとにかく楽しくて、寮の同い年の選手もすごく優しいので、ホームシックにもなりませんでした。食事が合わないのはちょっとあったんですけど、バスケの面では全然問題なかったです。

──スペインから日本のバスケを見ることはありましたか?

Bリーグのハイライトは結構見て、特にガードの上手い選手は見させてもらっています。富樫勇樹選手、並里成選手、齋藤拓実選手とか上手い選手を見ています。

──NBAで注目しているのは?

今はアルゼンチン人のファクンド・カンパッソという選手です。スペインでプレーしていた頃から一番好きな選手です。

──食事の話が出ましたが、スペインではどんな食生活をしていますか?

米よりパンがメインで、お米の料理も出るんですけど日本と比べるとあまり、という感じはありました。パスタはすごく美味しいし、肉が大きなお皿にめっちゃ出てきたりします。栄養管理がちゃんとされているので、ハードな練習とか試合があった日の夕食はデカい肉が出てきて疲労回復、みたいな。食べるものはしっかり決められているので、みんな我慢できなくなって週末はレストランに食べに出掛けたりしていました。

──マドリードはやっぱりサッカーの街、という印象が強いですか?

そうですね。僕はサッカーも大好きなんですよ。だからレアル・マドリーの試合を見に行きたかったんですけどスタジアムが工事中でそこでは試合をやっていなくて。チケットもすごく高いですし、コロナの関係もあって街中には行かないようにしていたこともあって、試合観戦にはまだ行けていません。

岡田

「日本にいたら知らないままだった、世の中のいろんなことを知ることができた」

──寮で友達と過ごす時には何をしていますか?

寮だとサッカーの試合があったらみんなで見ています。チャンピオンズリーグは必ずみんなで見ますね。ゲームの『NBA2K』をリビングでみんなでやっていたり。僕はNBAの試合を見たり、仲の良い子で集まって夜中にずっと話してたりとか。でも話題は練習のこととか、バスケのことばかりですね(笑)。

──それだけバスケに対する意識が高いようですね。日本を飛び出して、そういう環境に行って良かったと思いますか?

人によって差はありますが、僕の周りは意識の高い子ばかりです。日本の高校生もレベルが高いと思うし、今まさにバスケのレベルがどんどん上がっていると思うんですけど、僕はスペインに行ってすごく良かったと思っています。でも逆に、スペインというか海外の子はオンとオフの差がすごく激しくて、「これで試合で大丈夫なのかな」と思うぐらい全然動かない子もいます。そこは日本だと絶対あり得ない感覚だったりするんですけど、スペインではそれでも試合でしっかり動ければ大丈夫だったりして、知らないことを知ることはできました。そういう意味では、日本にいたら知らないままだった、世の中のいろんなことを知ることができたので、スペインに来て良かったです。

──気が早いですが、今後のバスケキャリアについてどのようなビジョンを描いていますか?

自分の中では先のことはまだ全然何も考えていません。今はまずこの1年をしっかり戦って、プロでも通用するような土台を整えることです。その先はスペインの4部、3部、2部からデビューしていきたいとは思います。

──そこからNBAを目指す、あるいはBリーグでプレーしてみたい、という思いは?

僕の目標は海外のプロリーグで活躍することなので、その頂点がNBAだと思うんですけど、スペインの1部リーグもレベルが高いので、今のところ目標はそこです。

──岡田選手に注目しているバスケファンへ、メッセージをお願いします。

昨シーズンは接戦で勝てた試合もあれば、惜しいところで負けてしまった試合もありました。今シーズンは自分がチームを勝たせたいと思っています。自分がしっかり貢献する中でチームを勝たせて、今年もマドリードのトップを狙っていきます。今年は『勝ち』という結果で見てもらえるように頑張ります。

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