ジョエル・エンビード

2027年までのスーパーマックス契約をシクサーズと結ぶ

ジョエル・エンビードがシクサーズとの契約延長に合意した。チームは契約の詳細を明らかにしていないが、『ESPN』によれば4年1億9600万ドル(約210億円)のスーパーマックス契約とのこと。2017年に締結した5年契約に続く4年契約で、2026-27シーズンまでが契約期間となる。

エンビードは、2014年のドラフト1巡目3位指名を受けてシクサーズに加わったものの、ドラフト前に発覚した右足のケガが長引いてデビューは2016-17シーズンまで持ち越しとなった。それでも、当時の指揮官ブレッド・ブラウンは「ティム・ダンカンの劣らぬ才能の持ち主」と彼を信じ、パトリック・ユーイングも「現役最高のセンターになるかもしれない」と言うほど、NBAデビューが遅れても前評判は高かった。

実際にデビューすると、当初はプレータイムの制限を科せられフラストレーションを溜めながらのプレーではあったが、デビューシーズンの選手としてはダンカン以来となる9試合連続20得点1ブロック以上を記録し、期待以上のパフォーマンスを見せた。

2017年に最初の契約延長に合意しているが、この時にはコンディションの不安から、ケガで欠場する試合が多くなった場合にはシクサーズ側が契約を破棄できるという条項が盛り込まれた。それでもデビュー2年目の2017-18シーズンから現在までエンビードはコンスタントに活躍を続け、チームをプレーオフ進出に導いている。2019-20シーズンにはベン・シモンズがケガで出場できなかったプレーオフで孤軍奮闘。1回戦でセルティックスにスウィープ(0勝4敗)負けを喫したものの、この前後から「自分がチームを勝たせる」という責任感が目に見えて強くなった。

この時、エンビードは「勝たなければ評価は得られない」と語っている。「どんな形であれ勝てばチームの成功となり、僕も評価されていろいろな賞の候補に挙げられる。僕のような選手はMVPやオールNBA、最優秀守備選手の候補に毎シーズンならなきゃいけない。ただ、受賞するにはチームの勝利が必要だ。だからそれを一番の目標にする。勝てばみんながハッピーでいられる」

ここからエンビードはチームリーダーとしての意識を高め、攻守にワンランク上の選手となった。そして昨シーズン、チームはカンファレンスセミファイナルでホークスに競り負け、納得できる結果とは行かなかったが、彼はオールNBAのセカンドチームに選ばれ、MVP投票で2位となって、スーパーマックスでの契約延長の権利を得た。

今のシクサーズは揺れている。エースデュオの一角だったベン・シモンズがプレーオフでの絶不調で信頼を失い、失意のあまり球団とも連絡を絶っていると言われ、トレードされることが濃厚だ。シクサーズにとってはチームをイチから作り直すことになるし、エンビードにとっては4シーズンをともに過ごしてきたコンビの解消となる。もっとも、シモンズの去就がどういう形で決着しようと、シクサーズはエンビードを中心としてチームを作り、カンファレンスファイナル進出、そしてその先を目指すことになる。

エンビードはSNSを通じて、ファンにこんなメッセージを送っている。「フィラデルフィアのような場所は他にはない。ここにタイトルを持ち帰るために努力し続け、いずれはここで引退するつもりだ」