初戦のフランス戦に続きゲームハイの11アシストをマーク
バスケットボール女子日本代表は、東京オリンピックのグループリーグ2戦目でアメリカ代表と激突し69-86で敗れた。最終的に点差は広がってしまったが、第1クォーターでリードを奪うなど日本が主導権を握った時間帯もあった。
日本がやりたいバスケットボールを展開できた時、コート上で輝きを放っていたのは司令塔の町田瑠唯だった。サイズで圧倒的に不利な日本だが、自分たちのアドバンテージであるスピードのミスマッチを最も作り出すためにピック&ロールを使い、町田、宮崎早織のポイントガード陣が相手のインサイドプレーヤーと対峙する状況を積極的に作り出した。
そこで町田は、キレ味鋭いドライブで何度もアメリカの守備を切り崩し、味方のシュートチャンスを演出した。その結果、9得点11アシストと初戦のフランス戦(7得点11アシスト)に続く2桁アシストを記録。さらに29分の出場時間で、ターンオーバーはわずか1と見事なパフォーマンスだった。
「前半は日本のペースになりつつありましたが、イージーシュートやノーマークの3ポイントシュートを決めきれなかったです。そこで逆に相手はシュート確率を上げてきたところで、差がついてしまいました。そして、もう少し走れる部分もあったのかなと思います」
こう試合を振り返った町田は、日本オフェンスの起点となった自身のペイントアタックについて「相手が大きいのでスイッチディフェンスをされた時、しっかりリングにアタックしてシュートチャンスを作ることを意識してはやっていました」と狙い通りだったと明かす。
しかし、フィールドゴール12本中4本成功と自身のシュートを決めきれず、その原因はやはりアメリカの高さが影響していた。「最後はやっぱり高さとかを意識してしまって、シュートのところが雑になったり、いつも通り打っていなかった部分がありました。そこは自分としては修正しなきゃいけないです」
「アグレッシブなディフェンスはどの国にも通用するとは思います」
5年前のリオ五輪でのアメリカ戦、町田は11分の出場で2得点3アシストと見せ場なく終わったが、今回は絶対王者を苦しめた。日本とともに町田自身の成長ぶりを大きく示した。「アグレッシブなディフェンスはどの国にも通用するとは思います。それをもっと誰が出ても同じようなディフェンスができるようにやっていきたい」と語るなど課題もあるが、同時にアメリカは決して手の届かない相手ではないという確信も得られた。
「点差は開いてしまいましたが、勝てない相手ではないなとすごく感じました。次もし当たるならしっかり勝ち切りたい」
この試合はグループリーグであり、日本が勝ち進めば決勝トーナメントでリベンジを果たすチャンスは巡ってくるだろう。実際に戦いアメリカの高さ、強さを肌で体感できたことは再戦する時の大きなプラス材料だ。
「ナイジェリアも高さやパワーがあります。向こうもアグレッシブなディフェンスをしてくるので、そのプレッシャーに負けないように、自分たちはアタックしていくこと。そしてアグレッシブなディフェンスで相手のリズムを崩して自分たちのペースに持っていけるようにやっていきたいです」
ナイジェリアはアメリカに11点差での敗北と相手は難敵だが、町田の語るプレーをしっかり遂行できれば自然と結果がついてくる。そして、彼女の変幻自在なゲームメークによるアシスト量産も必要となってくる。コート上で誰よりも小さいが、誰よりもスピードがあり電光石火のパスを繰り出す。日本のスモールバスケットボールの象徴として、町田のプレーから目が離せない。