ファクンド・カンパッソがチームの中心、日本代表とは3戦目で激突
2019年のワールドカップで準優勝し、世界ランキング4位と強豪のアルゼンチンですが、オリンピック前のエキシビションマッチではオーストラリア、ナイジェリア、アメリカに3連敗し、あまり良いとは言えない状態でオリンピックに臨みます。
中心となるのは179cmと小柄なポイントガード、ファクンド・カンパッソ。エネルギッシュなディフェンスとファンタスティックなアシストでチームを引っ張ります。コートを広く使ったゲームメークをすることで、どこからでも得点が取れるバランスの良いチームオフェンスを展開します。30歳前後と脂の乗った選手が多く、全員が3ポイントシュートもドライブもできるため、ディフェンスからすると止めるポイントを絞るのが非常に難しいチームです。
日本代表のヘッドコーチであるフリオ・ラマスもアルゼンチン人で、プレータイムをしっかりシェアします。アルゼンチンはベンチから登場する選手も総じてレベルが高く、試合内容や対戦相手との相性に合わせて効果的な選手をチョイスできます。誰が出てきてもチームオフェンスの質を保ちながら、その中で選手の特徴で変化をつけてきます。
各ポジションのバランスの良さが目立つ一方で、センターには210cm台の選手はおらず、41歳のルイス・スコラがスターターを務めます。大ベテランらしい巧みなプレーの駆け引きを見せるスコラは、インサイドのスペースを作るのも上手く、オーストラリア戦では4本の3ポイントシュートを決めて25得点を奪いました。カンパッソとともにアルゼンチンのオフェンスを作り上げるキーマンになっています。
しかし、スコラが機能したオーストラリア戦は接戦でしたが、ナイジェリアとアメリカには個人の戦いで力負けしてしまいました。どこからでも仕掛けられる強みが封じられてしまうと、チーム全体のリズムが悪くなり、ディフェンスを崩せません。カンパッソとスコラにプレッシャーをかけられると、チーム全体のオフェンスが停滞してしまいます。
日本代表は3試合目でこのアルゼンチンと対戦します。フロアバランスを取ったアルゼンチンはオフェンスリバウンドに参加する選手が少なく、またスコラもフィジカルで押し込んでくるタイプではないため、日本代表の弱みとなるインサイドでは大きな不利が生まれずに戦えそうです。3ポイントシュートが決まらないと得点が伸びてこないチームでもあるため、しっかりとアウトサイドまで追いかけるディフェンスから勝機を見いだしたいところです。
国際舞台での経験豊富なベテランが並ぶアルゼンチンですが、新たに20歳のリアンドロ・ボルマロのような新星も出てきています。41歳から20歳まで幅広い世代が並びながら、同じチーム戦術の中で特徴を発揮できるのは見事です。エキシビジョンマッチでは個人のパワーに押し潰されましたが、個人能力に頼るのではなくチームとして効果的なオフェンスを展開するアルゼンチンの魅力が本大会の中で磨きを掛けられるか。オリンピックでの戦いぶりが楽しみなチームです。