NBAで『世界』を知る渡邊雄太が語った、オリンピック本番への手応え「どんな相手に対してでもやれる力はある」

NBAで『世界』を知る渡邊雄太が語った、オリンピック本番への手応え「どんな相手に対してでもやれる力はある」

2021/07/18 20:30
渡邊雄太

相手が調整メインであることを考慮してなお「勝ち切れたのは自信にしていい」

7月18日、バスケットボール男子日本代表はフランスとの国際強化試合に81-75と競り勝った。もちろんこれは公式戦ではなく、事前合宿先の山梨県忍野村に到着して間もないフランスにとってオリンピック本番へ向けたコンディション調整の意味合いが強いのは否めない。ただ、そういった背景を加味しても2019年ワールドカップで銅メダルを獲得したフランスを、しかもフルメンバーを相手に勝利を収めたことは、チームに大きな勢いとなる。

チーム最長となる29分44秒の出場で、18得点9リバウンド2アシスト2スティールを記録し、攻守に渡りチームを牽引した渡邊雄太も「正直、フランスのコンディショニング不良もあったとは思います」と試合後の会見で触れつつ、この一勝の意味をこう考える。

「こういう試合でもしっかり勝ち切れたのは絶対に自信にしていいと思います。ただ自分たちのできていない部分は多く見えた試合でした。自信にして良い部分と、フランスに勝ったからといって調子に乗ったら行けない部分、そのバランスはしっかりしなければと思っています」

日本代表は一昨日のベルギー戦から八村塁がチームに加わり、チームの要となる『NBAコンビ』が揃った。ベルギー戦では2人合計で39得点12リバウンド5アシスト、今日のフランス戦では37得点16リバウンド4アシストと期待通りの活躍だが、中でも特質すべきは出だしでの貢献度だ。

ベルギー戦の第1クォーターでは2人で19得点6リバウンド、今日は全18得点のうち2人で16得点(6リバウンド)を稼いでいる。国際試合において日本は立ち上がりの悪さが大きな課題となって久しいが、渡邊と八村がティップオフからエナジー全開で大暴れすることで、先手を取っているのは本当に大きい。

渡邊雄太

「少し無茶なシュートを打ってしまっていた部分も今日はあった」

フランス戦では、NBA随一のリムプロテクターであるルディ・ゴベアがゴール下に構える中でも、2人が積極的にアタックし、チーム全体に強気の姿勢を植えつけたのも光った。そこはかなり意識した部分だったと渡邊は語る。

「ゴベアのディフェンス力はNBAの中でもズバ抜けています。そこでビビってしまい外から単発のシュートばっかりになったら、絶対にフランスのペースになるのは分かっていました。そこはまず彼と対戦経験のある僕や塁が率先して中に切り込み、そこからカバーに寄って来ればパスをさばいていくプレーをできればなと思っていました。ただ彼のブロックを嫌がり少し無茶なシュートを打ってしまっていた部分も今日はあったので、そこは反省点です」

海外組の中でも一足早くチームに合流した渡邊は、これで5試合の強化試合に出場したことになる。世界の強豪と比べサイズ、フィジカル面で劣っている日本が沖縄でのベルギー戦、フィンランド戦に敗れたのはリバウンドが大きな要因となった。逆に今日の勝因は、フランス相手にリバウンドで互角に持ち込んだからだ。

渡邊はリバウンド向上への手応えを語る。「塁、(馬場)雄大が来てくれたことでリバウンドは間違いなく強化されました。そして、彼らがいるからだけではなく、2人がいない時にも練習からしっかりやっていこうと声を掛けてきました。ここにきて全員の意識が高くなって、リバウンド力が上がっていると思います。今日もリバウンドは負けてはいますけど、フランス相手に3本しか負けていないのはすごく良いと思います。オフェンスリバウンド11本は上出来ですし、ここは絶対に自信にしていい部分です」

ただ、オリンピックに向けて現状で満足してはいけないと強調する。「相手にもオフェンスリバウンドを11本取られているのは間違いなく反省点です。成長を感じつつ、まだまだ継続して課題だなと思っています」

渡邊雄太

「ランキングは一切関係なく、どこが相手だろうと自分たちのバスケットを」

今日の試合でオリンピック前の強化試合は終了した。次からはいよいよ本番であり、スペイン、アルゼンチン、スロベニアと難敵を相手に歴史的勝利を目指す壮大なチャレンジが始まる。

渡邊は「向こうが格上なのは間違いないです。身長の部分で負けていますし、経験でも絶対に向こうが上だと分かっています」と対戦相手を評すると同時に、日本にも勝機は必ずあると決意を語る。

「今日みたいに第1クォーターから足を動かして、相手のターンオーバーを誘発させていけば絶対に自分たちのリズムにできます。今日、フランスを相手にこれだけできたのは、どんな相手に対してでもやれる力はあると自信にしていいと思います。スペインが2位でアルゼンチンが4位、スロベニアが16位というランキングは一切関係なく、どこが相手だろうと自分たちのバスケットをやっていけたらなと思います」

オリンピックの相手は、調整途中である今日のフランスよりも高いパフォーマンスを発揮するに違いない。ただ、日本もまだ伸びしろは十分にある。そして、自分たちのやるべきバスケットができれば、サイズやフィジカルで上回る相手にも優位に立てることは証明された。渡邊のリーダーシップの下、日本代表がさらなる進化を遂げ、26日のスペイン戦を迎えてくれると大きな期待を抱ける今日の勝利だった。

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