立ち上がりの重さをチームで払拭、全員が持ち味を発揮
バスケットボール女子日本代表は、オリンピック初戦のフランス戦を10日後に控え、プエルトリコとの国際強化試合を行った。
試合は序盤から日本がスピードに乗った展開を作り出す。町田瑠唯、三好南穂、赤穂ひまわり、長岡萌映子、髙田真希のスターティングファイブがフットワーク良く連動したディフェンスで開始から3分半を無失点でしのぎ、攻めに転じれば思い切りの良いドライブでペイントエリアに仕掛けていった。
それでもシュートタッチは2日前のベルギー戦ほど良くなく、自分たちの展開は作れても点数が伸びない序盤となったが、早めの選手交代で投入されたセカンドユニットの選手たちがリードを広げる。宮崎早織、東藤なな子、オコエ桃仁花が先発陣を上回る積極性で、崩しきっていなくても個人技でプエルトリコのディフェンスをこじ開けていく。相手の速攻もハリーバックでプレッシャーを与えてシュートを落とさせるなど、攻守にアグレッシブな姿勢が目立った。
日本の出足の良さに振り回されたプエルトリコだが、ポイントガードのジェニファー・オニールが左右への鋭いステップからのジャンプシュートを次々に決めて食らい付く。背の低い日本のガード陣はオニールの打点の高いシュートを止められず、ドライブに身体を張って止めに行けばバスケット・カウントを献上。それでも本橋菜子のドライブ、チームでパスを回しての林咲希の3ポイントシュート連発と打ち勝ち、さらに本橋が高い位置からプレッシャーを掛け、スティールからワンマン速攻に持ち込みリードを広げた。
本橋は先の試合では動きにキレがなくプレータイムも伸びなかったが、この試合では足がよく動き、スティールには至らなくても相手のパスを読んで飛びつきカットするなど、運動量が増えるだけでなく動きの質も向上。第2クォーターに粘るプエルトリコを突き放す大きな働きを見せた。日本は39-31とリードして前半を終えている。
東藤なな子、本橋菜子に宮澤夕貴とセカンドユニットが活躍
後半の立ち上がり、日本は攻守に連携の良さを見せる。最初のプレーは、髙田真希とのスイッチでスピードのミスマッチを作った町田が相手のビッグマンをスピードでブチ抜き、ヘルプが寄った瞬間に逆サイドから飛び込む長岡萌映子に合わせる見事な連携プレー。高い位置から囲い込んでボールを奪っての東藤の得点、町田のスティールから素早く長岡に繋いでと、攻守が完璧に噛み合ってイージーシュートのチャンスを次々と決めていった。
スモールバスケットではあってもインサイドで1対1になれば髙田が個人技で仕掛けてフリースローを獲得するなど、何も考えずにただただ走るのではなく、外一辺倒に偏ることもなく、バランスの良さが光った。第3クォーター残り5分40秒、速攻をファウルで止められた赤穂のフリースロー2本が決まり、点差を20へと広げた。
67-47で迎えた最終クォーター、前からプレッシャーを掛けてパスコースを限定し、そこを狙うディフェンスが機能する。立ち上がりからずっと速いテンポに付き合わされたプエルトリコは体力的に押し返すのが厳しく、集中を保つのも簡単ではない。セカンドユニット中心のこのクォーター、本橋に宮澤夕貴とケガ明けの選手も含めて東藤、林とオフェンスでは個の力が、ディフェンスではチームワークが光った。最後まで攻守に走り続けた日本は最終クォーターも27-12と圧倒し、94-59で勝利を収めた。
快勝にも髙田は気を引き締める「もう一回気持ちを強く高めていく」
12得点7リバウンドの活躍でチームを引っ張った髙田は、「今日の試合は少し出だしでリズムがつかめなくて重たいリズムになったけど、後半は良さを出せて勝利に終わったので良かった」と快勝を喜びつつも、「出だしのところが一番大事になる。そこは技術よりも気持ちの問題なので、もう一回気持ちを強く高めていくことが大事なので、練習で意識していきたい」と、課題を見つめることも忘れなかった。
指揮官のトム・ホーバスも出だしのパフォーマンスに触れて「試合前、相手は気持ちが熱いチームだからそこを絶対に負けないと言ったけど第1クォーターは負けました。だから怒って、そこから選手たちが打ち合わせて良くなった」と振り返る。それでも、厳格なヘッドコーチの満足気な表情からも、収穫が大きかったのは明らか。
「本当にこのチームは他の国より絶対に準備した、一番練習していると思う。だからこれからは勝負しかない。ウチの目標は金メダル。みんな信じている。ウチの力を信じている。だから今日の後半はよく見ていた。もうやるしかない、五輪が楽しみです」