両エースの連係は最後まで噛み合わないままセブンティシクサーズは敗退、ジョエル・エンビード&ベン・シモンズ時代の終焉?

両エースの連係は最後まで噛み合わないままセブンティシクサーズは敗退、ジョエル・エンビード&ベン・シモンズ時代の終焉?

2021/06/22 07:30
ベン・シモンズ

『エンビードのチーム』でシモンズはオフェンスに絡めず

第1シードで臨みながらカンファレンスファイナルにも進めない結果に、大きな期待を抱いていたファンからのブーイングが鳴り響く中で、シクサーズのシーズンは終わりました。ジョエル・エンビードとベン・シモンズのコンビが登場してから、大きな期待と失望を繰り返し、カンファレンス準決勝の壁を破ることができていません。敗因を考えてみると毎シーズン同じような印象しか抱けず、特に今回は早々に『シモンズのトレード』が話題になっています。

GAME7ではシリーズ平均29.0得点、10.9アシストを記録したトレ・ヤングが絶不調で、フィールドゴールは22%しか決まらず、ホークスはオフェンス構築に困りました。しかし、そこでヤングと同じ3年目のケビン・ハーターが次々とシュートを沈めて29得点とエースの不調を補いました。シューターとしてヤングのパスから決めるだけでなく、絶好調だったセス・カリー相手に積極的に仕掛けることでファウルトラブルに追い込んでもいて、ハーターの存在は攻守に効いていました。

4年目のジョン・コリンズは得点こそ14に留まったものの、パスを引き出す上手さとオフェンスリバウンドでヤングを助け、ディフェンスでもシモンズとジョエル・エンビード双方からチャージングを奪うなど、攻守のハードワークで違いを作りました。

ホークスの若手3人はヤングを中心にしながらも、シューターのハーターとインサイドに飛び込むコリンズという連携があるだけでなく、不調のヤングをハーターがプレーメークで助け、ヤングのディフェンス力不足をコリンズの素早いヘルプでカバーしています。ホークスのトリオの相性の良さは、エンビードとシモンズのコンビが機能しないのとは対照的でした。GAME7までもつれた接戦のシリーズで最後にモノを言ったのは、単なる個人技の集合体で終わらせなかったホークスの連携力でした。

今シーズンのシクサーズはコーチングスタッフが入れ替わったのを機に、攻守にチームとして機能するように整理されました。特に特徴的だったのは、これまでコートの中央に陣取って動かず、単調なプレーで展開力に欠けたエンビードに対して、ローポストにポストアップさせるためのスクリーンプレーを準備して『最も強みを発揮できる形』を徹底してきたことでした。

MVP候補にもなったエンビードですが、その評価に反してプレーそのものはこれまでと大きな変化はなかったのですが、『最も強みを発揮できる形』からアタックを増やしたため、プレーの成功率が格段に向上しました。その上、安定したプレーで高いシュート力を誇るセス・カリーやダニー・グリーンを加えたことでパスアウトの威力も増し、シクサーズは『エンビードのチーム』としてレギュラーシーズンを勝ち進みました。

一方でシモンズのプレーはファンの不満を生み出しました。得点、リバウンド、アシストすべてでキャリア最低となり、しかもホークスとのシリーズではフリースローの失敗を重ねただけなく、第4クォーターのフィールドゴールアテンプトが7試合でダンクの3本のみと、試合終盤になるほどにシュート能力の低さからオフェンスに絡めない姿が際立ちました。

ただし、2年前までのプレーオフでは終盤でも強気なプレーで得点しており、これらはエンビード中心のオフェンスに切り替えたことで、ドライブやポストアップから組み立てるシモンズの特徴を生かせなくなった今シーズンの特徴でもあります。シモンズ個人のシュート精度の問題だけでなく、チームとして『エンビード中心のオフェンスの中でシモンズを機能させる』という戦術的課題を解決できなかったことが最後の最後で響いてしまいました。

振り返ってみるとシモンズが加わった3年前は、戦術的にはシモンズが中心でエンビードはオプション的な位置付けであり、2人の相性はそこまで問題ではありませんでした。ただし、スタミナと運動量に難のあるエンビードがガス欠してしまうことが多く、試合終盤に弱さが出ました。それから次第にエンビードに寄せていくような形でチームは変化し、完全にエンビード中心になると今度はシモンズの問題が目立つようになりました。

結局、この4シーズンを通して『エンビードとシモンズの双方が輝く戦術』を見つけることはできませんでした。シモンズの3ポイントシュートばかりが話題になりますが、ヒートではバム・アデバヨにアウトサイドシュートがなくても戦術は成立しており、エンビードとシモンズにも最適な戦術はあるはずです。しかし、2人のコンビネーションを熟成させる前に勝利へと急かせたことで、プレーオフでは常に2人の連携不足が問題になりました。

2人を輝かせる戦術を来シーズンも探していくか、それともコンビを解消しトレードでエンビードに合った選手を連れてくるか。優勝を目標にする以上、不確定な戦術構築よりも、確実な効果が見込まれるトレードに動くのは自然な流れかもしれません。その一方でシクサーズよりも若いホークスが、ヤングコアを3年かけて育成し、補い合って勝利を得たことも忘れてはいけません。シクサーズはどちらを選ぶのが正解なのか、議論を呼ぶオフシーズンが待っています。

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