内海知秀ヘッドコーチが振り返るリオ五輪vol.7「2020年に向けて『若い選手の底上げ』は必須」

2016/09/17
日本代表
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取材・文=三上太 写真=Getty Images、野口岳彦、三上太
PROFILE 内海知秀(うつみ・ともひで)
1958年12月7日生まれ、青森県出身。能代工、日本体育大を経て、日本鉱業で活躍。引退後の1988年に札幌大で指導者としてのキャリアをスタートさせた。2003年、JXでの手腕を評価され女子日本代表監督に就任し、アテネ五輪を戦う。JX-ENEOSを経て2012年に日本代表監督に復帰。4年がかりで強化したチームを率いてリオ五輪を戦い、ベスト8進出を果たした。

勢いをつけて戦わなければ世界に通用しません

──内海ヘッドコーチが4年をかけて作り上げたチームのリオ五輪が終わりました。次は2020年の東京五輪です。今回のベスト8の壁を破って、世界のベスト4に入ろう、今度こそメダルを取ろうと考えた時、日本の課題は何でしょう?

内海 一つは身長の大きい選手が足りないことでしょう。ただ身長に関しては鍛えてどうにかなるものでもないわけですから、185センチ前後の選手の実力を伸ばしていく必要があります。渡嘉敷は年齢的にも問題ないと思うんですけど、例えば間宮や高田が東京までやったとしても、今のパフォーマンスを維持するスタミナがあるかと言われたら、現時点ではクエスチョンがつきます。そこは若い選手が伸びてこないといけません。

――ビッグマンの底上げが課題だと。

内海 そうですね。加えて3番のプレーヤーがどこまで伸びてくるかも重要です。宮澤や長岡にはそこを担ってもらいたいし、栗原や近藤みたいなシューターも当然必要になります。ガードだって町田や三好、今回は最終選考で漏れましたが、藤岡麻菜美もいます。もちろん、その他にも有望な選手はいますから、それは今後の競争ですし、伸びてくる選手を見極めていかなければなりません。

――すべてのポジションの底上げが課題というわけですね。

内海 それはそうですよ。各ポジションともに底上げが必要で、若い選手が出てこなければいけません。リオ五輪を経験した選手たちがベテラン、中堅となっていく中で、若い選手が入ってきてチームに勢いをつける。今回改めて感じましたが、やはり日本は勢いをつけて戦わなければ世界に通用しません。がっぷりよつに組んで戦っても、やはり高さや強さなどで苦しみますから。勢いのあるチームを作っていく必要があると思います。

生きのいい若い選手が入ってくる形がいい

──それでもポイントガードには町田、三好、藤岡などパッとイメージのわく選手たちがいます。インサイドで期待している若い選手はいますか?

内海 赤穂さくらがそうだし、西岡里紗も187cmくらいありますよね。間に合うかどうかわかりませんが、札幌山の手高校の栗林未和が188cm、桜花学園の梅沢樹奈も186cmくらいでしょう。またそれ以外のインサイド系の選手たちも含め、今後代表にどこまで絡んでくるか。現状ではまだまだ経験が必要だし、技術も伸ばさないといけません。ただ高田も間宮も最初はそうでしたから。どこをどう強化するかによって、彼女たちを使うのか、それとももう少し上の年代の選手たちを使ったほうがいいのかが変わってくるとは思いますね。ただ今挙げた選手たちよりも少し上の年代のビッグマンがいるかといえば、クエスチョンなんですけどね。

──となると、中心になるべきなのは長岡、宮澤、三好たちの世代。今の23歳くらい。その前後が中心になっていかないといけない。

内海 そのあたりがチームの中堅になって、そこにベテランとして数人が残って、生きのいい若い選手が入ってくる形がいいと思います。

――これからが楽しみですね。

内海 そうですね、本当に楽しみです。

この4年間、就任当初は決して強くはなかったチームを任され、世界に挑戦するというミッション』を担い続けた内海ヘッドコーチ。今リオ五輪を終え、一旦その重い荷物を降ろした安堵が、その表情からは感じられる。ときおり目を潤ませたりもするから、こちらもつい釣られそうになる。今年に入ってからの長い長い強化合宿、そして決戦の舞台であるリオでは見られなかった、内海ヘッドコーチの柔和な表情が、ようやく戻ってきた。