安間志織

WリーグファイナルMVPが、日本代表で注目の存在へ

6月12日、バスケットボール女子日本代表はポルトガル代表と対戦する国際強化試合『三井不動産カップ2021』の第2戦を行った。高さの不利をカバーする豊富な運動量を生かした平面での激しいプレッシャーでリズムを作ると、序盤から常に先行する危なげない展開で68-43と快勝している。

日本代表は、現在の16名から12名のオリンピック最終登録メンバーを絞り込む激しいサバイバルレースの真っ最中。そんな中で第2戦の先発ポイントガードを務めたのは、今大会がA代表では初の国際試合となる安間志織だ。

2020-21シーズンのWリーグファイナルでは、初戦で20得点7リバウンド8アシスト。2試合目は4得点10リバウンド12アシストをマーク。この活躍でトヨタ自動車アンテロープスをチャンピオンに導くとともにプレーオフMVPに選出された安間だけに、今こうして代表の一員としてプレーしていることに驚きはない。ただ、これまで代表にほとんど縁がなかった本人は「選ばれるとは全く思っていなかったです。オフシーズンに入ったら帰りのチケットも取らないで地元の沖縄に帰って、ずっと動かない予定でした」と語る。

それでも、4月の発表時には28名だった候補選手が16名に絞られた今も安間はメンバーに残っている。そして今日の試合では3得点に終わったが、ベンチ入り選手全員を起用して出場時間が限られた中で4アシストを記録。自身の持ち味をしっかりアピールしている。

本人としては途中で24秒バイオレーションのターンオーバーを喫した点など、まずは反省を口にする。「チームのリズムを作るポイントガードなのにショットクロックを見ていなかったミスがあったので、そこは修正していきたいと思います」

「スピードを生かしたドライブ、ペイントアタックをして、シューターに上手くパスを出したいですが、スピードに乗った中での状況判断が課題です。一昨日、私がジャンプシュートを打って三好さんが3ポイントシュートを打てない場面がありました。そこは私が見えていませんでした。ドライブからのキックアウトも含めて、もっと味方を生かすパスを出すことが課題です」

このように味方のシュート機会を作り出すことを第一に考えている安間だが、同時に外角シュートも効果的に沈めていきたいと続ける。「今シーズンは3ポイントシュートの自信をつけたので、1試合1本か2本の少ないチャンスでもしっかり打っていきたい。それによって自分のリズムでプレーできます」

安間志織

求められるのは自分らしいプレー「自信を持ってやっていきたい」

12名のオリンピック登録メンバー残るには「トムさん(トム・ホーバス)の考え、どういうバスケをしたいかを理解することです」とチーム戦術への適応力を高めつつ、自らの個性をしっかりと出していくことも大事だと考える。「しっかりアタックしていく。そして小さくてもリバウンドは行けますし、チャンスがあれば3ポイントシュートと、自分のプレーを崩さずに貢献していきたいです」

161cmと小さい安間だが、リバウンドも取れるオールラウンダーであることは前述のWリーグファイナルでの活躍が示している。

またこの試合、日本代表は2ポイントシュート23本試投に対し、3ポイントシュートは33本と3ポイントシュートの本数が上回った。これはスモールボールを指向しているにしてもアンバランスで、指揮官トム・ホーバスもゴール下でのシュートをもっと増やしたいと考えている。

ペイントアタックは安間の大きな武器で「ドライブからのフィッシュは日本の課題だと思うので、自信を持ってやっていきたい」と本人も意欲を見せる。

今の日本代表に足りないプレーは、安間の得意とするものだ。だからこそ、日本代表だからと何か特別なことをする必要はない。安間がこれまで磨いてきた自分のプレーを貫けば、全くの予想外からのオリンピック代表入りは現実味を帯びてくる。