八村塁

クラッチタイムにダンクと3ポイントシュートを連発、勝利の立役者に

八村塁にとってNBAキャリア2年目で初めて挑んだプレーオフ、0勝3敗で迎えたファーストラウンド第4戦は、彼のキャリアにとって重要な試合になることだろう。序盤は好調のシクサーズに圧倒されながらも踏み留まり、ジョエル・エンビードがケガでコートを離れたのを機にチーム一丸のプレーで押し返した。接戦の中で攻守にタフに戦い続けた八村は、クラッチタイムに速攻からのダンクに3ポイントシュートとハイライトプレーを連発。絶体絶命に追い込まれたチームに意地の1勝をもたらした。

42分とほぼ出ずっぱり、20得点13リバウンドのダブル・ダブル。主にマッチアップしたトバイアス・ハリス相手にダンクを叩き込み、威圧するように吠えてテクニカルファウルをコールされたのは少々行き過ぎだったが、それもこの一戦に懸ける意気込みの表れだ。

試合後の会見で八村は「3連敗ということで負けたら終わり。その中で僕らは良いシーズンを送ってきて、みんなで頑張ってプレーオフ目指して入って、最後もとにかくアグレッシブに行こうということで、僕もチーム全体もできたと思う」と語る。

勝負を決めたのは八村の得点だった。113-115と2点リードで迎えた第4クォーター残り1分16秒、誰よりも速くトランジションに転じてラッセル・ウェストブルックのパスを引き出して決めたイージーダンク。八村はこのシーンを「3ポイントシュートを打たれてリバウンドをしっかり取れて、その後に僕は隙を狙っていって、ラス(ウェストブルック)が良いパスを出してくれて、ダンクを決められて良かった」と振り返る。

そしてシクサーズをイラつかせたベン・シモンズへのハック戦術でフリースローを落とさせて得たポゼッションでは、速い展開からブラッドリー・ビールのパスを受けて3ポイントシュートを決めた。

「ブラッド(ビール)が2、3人のディフェンスを集めていて、僕がコーナーでワイドオープンだったんですけど、彼も僕を信用してくれてパスを出してくれたので、気持ち良く打てました」と八村は言う。

プレーオフの4試合で3ポイントシュートは12本打って8本成功と、決して多くないチャンスを高確率でモノにしており、「ブラッドとラスがディフェンスを集めてくれるので、その中で僕もイージーに打てているんじゃないかな」と八村自身も手応えは大きいようだ。

「会場も盛り上がっていましたし、僕も失うものはないと思ってやっていたので良かった」と勝利を喜ぶ八村。まだ1勝3敗で崖っぷちであることに変わりはなく、今日のように思い切ってアグレッシブなプレーを続けることが求められるが、この1勝でチームは自信を取り戻し、士気も高まるはず。フィラデルフィアに舞台を移しての第5戦で八村がどのようなパフォーマンスを見せるのか、注目したい。