アーロン・ゴードンが後半にリラードのマークを担当
『デイム・タイム』はナゲッツにとってこのシリーズ最大の脅威だ。しかし、抑えられないわけではない。トレイルブレイザーズとの第2戦、ナゲッツが128-109で勝利し、シリーズ成績を1勝1敗に持ち込んだ。
ナゲッツにとっては最高の立ち上がりだった。オースティン・リバースとファクンド・カンパッソのガードコンビのシュートタッチが良く、ニコラ・ヨキッチを警戒して空いた外からのシュートが立て続けに決まって早々に2桁のリードを奪う。しかし『デイム・タイム』が早々にやってきた。前半からナゲッツが悠々と逃げる展開は許さないとデイミアン・リラードが得意のロゴスリーから次々と3ポイントシュートをねじ込んでいく。
リラードは前半だけで10本中8本の3ポイントシュートを決めて32得点を記録。特に第2クォーターではブレイザーズの36得点のうち22得点を叩き出した。ナゲッツのシュートも好調なままだったが、リラードの驚異的なパフォーマンスの前に余裕は失われていた。
だが、後半にリラードは沈黙する。パワーフォワードのアーロン・ゴードンがマークについたのだ。20cmほど背が高く、ウイングスパンもあり、ビッグマンながらフットワークもあるゴードンは、マジックでは得点を期待されていたが、ヨキッチのいるナゲッツにトレードされてからはディフェンスに軸足を置いてプレーしている。そのゴードンに貼り付かれたのでは、さすがのリラードも思うように攻めることができない。
この采配について問われたヘッドコーチのマイケル・マローンは、「ハーフタイムに彼が申し出てきたんだ」と明かす。ゴードンは「前半のデイム(リラード)はクレイジーだったからね。僕が止めてやると思った。後半最初のポゼッションから自分にできるすべてを出したつもりだ」と語り、後半のリラードを3ポイントシュート成功わずか1本と抑えた仕事ぶりを誇った。
オフェンス面でもナゲッツの策は当たった。第1戦から選手起用を変え、マイケル・ポーターJr.をセカンドユニットのエースにすることで、ヨキッチがベンチで休んでいる時間帯も得点が停滞しないようになった。もともとジャマール・マレーが大活躍した昨シーズンのプレーオフで、ポーターJr.はその役割で結果を出している。MVP級の活躍を見せるヨキッチがベンチに下がっても、個人の能力で強引にでもチャンスを作り出せるポーターJr.が攻撃を引っ張ることで、ブレイザーズは常に気が抜けなかった。
モンテ・モリス、マーカス・ハワード、ポール・ミルサップ、ジャマイカル・グリーン。セカンドユニットのこの4人に加えてポーターJr.がプレーし、時にはヨキッチを組ませることもあった。ブレイザーズはリラードに象徴されるオフェンスの爆発力が持ち味だが、プレーオフ進出チームでは2番目に失点数の多いチームでもある。常にディフェンスに意識を割かなければいけない展開にされ、リラードまで抑えられては、劣勢を覆すのは難しかった。
「激しい試合になったけど、僕らにとっては得意な展開だよ」と、38得点8リバウンド5アシストを記録したヨキッチは語る。「吠える犬は噛まないって言うよね。何か言う必要はなくて、コートに出て噛み付かなきゃいけない、そういう気持ちでプレーした。ウチは恐れを知らないチームで、デイム(リラード)がシュートを決めまくるなら、それ以上の結果を出そうと結束を強める。今日はまさにそんな感じで勝てたんだ」