ジミー・バトラー

レギュラーシーズン前半は大苦戦も、ラスト1カ月は12勝4敗

今シーズンのヒートは開幕から3週間は勝ちと負けを交互に繰り返し、そこから7連敗と出だしで大きくつまづいた。勝利への意欲をむき出しにしてハードワークするスタイルは、NBAファイナルまで戦い抜いた昨シーズンの疲労が抜けきらないままでは効果を発揮できない。チーム全体のコンディションが上がらず、チームリーダーのジミー・バトラーは新型コロナウイルス感染でしばらくチームを離れる時期があった。

そんな大苦戦を強いられたシーズンだが、後半戦になって調子を上げ、4月からようやく勝利5割越えをキープ。レギュラーシーズンのラスト1カ月を12勝4敗で乗り切り、プレーイン・トーナメント出場を回避する東の6位まで順位を上げた。プレーオフ1回戦で対戦するのはバックスで、今シーズン3度の対戦では1勝2敗だが、すべてバトラーが欠場しており、戦績も内容もアテにならない。そうなると思い出されるのは昨シーズンの『バブル』で行われたプレーオフ、カンファレンスセミファイナルでの4勝1敗の勝利だ。

レギュラーシーズンの大変で苦戦を強いられたにしても、今のヒートを取り巻く雰囲気は非常にポジティブで、上位シードのバックスに対して優位にあるようにさえ感じる。

昨シーズンのプレーオフとの比較を問われたタイラー・ヒーローは「バックスは全く違うチームになった。ドリュー・ホリデーとボビー・ポーティス、控えガードのブリン・フォーブスもPJ・タッカーもいる」と選手層が分厚くなったことを語り、ダンカン・ロビンソンは「ディフェンスのシステムが変化している。対策はイチからやり直しだ」と相手を警戒する。

それでもヒートが自信を持ってプレーオフを迎えられるのは間違いない。ロビンソンは言う。「昨シーズンよりも成長したと思う。ラインナップに入ったり入らなかったりする選手が強くなったし、新型コロナウイルスの課題がある中で多くを学び、進歩してきた。お互いを学び、アイデンティティを確立することができたと感じている」

レギュラーシーズン最終戦を終える前、シクサーズに勝った試合後に『Inside the NBA』に出演したバトラーは、「どのチームと対戦しても勝てるチャンスはある。正直に言えば、誰も僕らを脅かすことはできない」と自信満々に応えた。ポストシーズンに合わせてどの選手もコンディションを上げ、勝ち続けることで自信を強め、プレーイン・トーナメント回避にも成功した。第5シードからNBAファイナルまで駆け上がった昨シーズンの再現なるか。周囲の期待は高まるばかりだ。