
「コーチの期待に応えられたので自信に繋がった」
若き才能が、重たい雰囲気を一変させた。群馬クレインサンダーズの淺野ケニーは、4月22日にホームで開催された京都ハンナリーズ戦で、今シーズン最長となる23分57秒出場。攻守にわたって躍動し、84-66での勝利に大きく貢献した。
「なかなか乗り切れず、(得点を)離せるタイミングで相手に止められてしまうのが続いた前半でした。3クォーターで良いスタートが切れて、最後は自分たちのリズムに持ち込んで終われた試合だったかなと思います」
淺野がそう試合を振り返る通り、前半を終えて11点のリードを築いたものの、リズムをつかみきれない印象があった試合だった。後半のスタートはベンチで迎えたが、開始31秒で早速コートに立つと第3クォーターはその後フル出場し、27-12と勝負を決めるビッグクォーターにしてみせた。
同ポジションのトレイ・ジョーンズが欠場となったのも出場時間が伸びた要因となった。「今日もトレイが出られないので、自分のプレータイムが伸びるだろうなと思い準備していました。 ただ、ファウルトラブルの中で3クォーターをここまで長く出るとは思わずビックリしましたが、コーチの期待に応えられたので自信に繋がりました」
淺野は、直近4試合を無得点で終えていた。この試合で8得点を挙げたものの「自分はアテンプトが確約されている選手ではない」と、自身が話す通り得点が最優先な選手ではない。ディフェンスでの貢献が評価されて、コートに立ち続けていた。
「コーチとのワークアウトやトレーナーさんたちとのフットワークは、シーズンを通してやり続けてきて、この2、3カ月でやっと結果が出てきた感じです。ディフェンスが良いとプレータイムも伸びて、オフェンスでも自分が攻めるチャンスが出てくるので、成長し続けていきたいです」

「良い準備ができて良い判断に繋がっている」
「日々、自分の成長を感じているので、プレーする場があるのはうれしいです」。会見中に淺野は『成長』という言葉を何度も口にした。
具体的に成長を感じているポイントを聞くと「序盤戦よりも準備ができているなと。試合に臨む姿勢ではなく、プレー中に相手がこうしたらこうするみたいな読みが良くなっています。サイドチェンジが起きる時の準備や、オフェンスでもチームメートはきっとこうするだろうと、良い準備ができて良い判断に繋がっています」と手応えを語る。
その言葉は、システムを固めすぎない柔軟な戦術を多用する群馬のバスケを表現するものだと感じた。相手のピック&ロールに対して、ハンドラーにもスクリーナーにもマッチアップしない淺野は、ヘルプローテーションの上手さを見せてインサイドにスペースを作らせない動き(スタント)を何度も見せていた。
自身のスタントについて淺野は次のように評価する。「アウェーの川崎ブレイブサンダース戦で、僕が寄れなかったエラーがあって……。Bリーグのウイング選手はシュートが入るので、自分のマークも気にしながら寄る塩梅が難しいですが、1カ月前と比べてその感覚も良くなってきています。立つ位置やタイミングの部分でも成長は感じています」
さらにオフェンスではマッチアップや動きを見て、ゴール下でシール(ディフェンスを背中で押し込む)し、パスを受ける積極的なプレーを見せていた。「あれはカッティングの延長だと思っていて、サイズのアドバンテージで攻めていきたいと思っています。ペイントを日本人選手がアタックできるのは強みになるので、ドライブだけじゃなくて、カッティングやシールでもアドバンテージを取っていきたいです」と手応えを感じている。

「1試合1試合大切にチーム全員で戦っていきたい」
群馬は前節の宇都宮ブレックス戦を迎えるまで13連勝を挙げていたが、第1戦で負けて記録が止まった。しかし、宇都宮との連戦は良い経験になったと淺野は語る。
「宇都宮戦の前にコーチが『プレーオフだと思って、1ゲーム目を取りに行こう』と話していました。初戦は負けてしまいましたが、次の試合でカムバックする経験をチャンピオンシップ前にできたことはチームにとってプラスになったと考えています」
連勝は止まったものの、その後に2連勝。チームは敗戦を生かして、前に進んでいる。今節の結果で、チャンピオンシップ進出のマジックは1となった。チームの力になれていることが「本当にうれしい」と淺野は言う。それは昨シーズンの悔しさが糧となっている。
「昨シーズン、チームはチャンピオンシップに出場しましたが、個人として出場できなかったので、終盤で自分のプレータイムをつかめていることは自信に繋がりますし、やり続けてきたことが間違っていなかった証明になっています」
レギュラーシーズンも終盤戦となっているが、千葉ジェッツとアルバルク東京が1ゲーム差で迫っており、まだまだ順位が入れ替わる可能性はある。淺野は最終盤戦に向けて兜の緒を締め直す。
「ホーム開催や、宇都宮の結果次第では地区優勝もあり得ますが、そういうことは考えずに次のレバンガ北海道戦を見据えて、1試合1試合大切にチーム全員で戦っていきたいです」
成長を自信に変えて、プレーで存在感を示しチームの勝利に大きく貢献。2年連続のチャンピオンシップ進出とその先の頂へ、淺野の躍動がチームの底上げをもたらしている。