デイミアン・リラード

「マインドは常に『僕たちならやれる』だ。信じない限りはできない」

トレイルブレイザーズは勝てばプレーイン・トーナメント回避の6位が確定するレギュラーシーズン最終戦でナゲッツと対戦。ナゲッツは先発にベストメンバーを並べてきたが、必勝の気迫が違った。試合開始から11-0のラン。ニコラ・ヨキッチやアーロン・ゴードンが集中を欠いた状態で試合に入ったナゲッツのシュートが決まらないのとは対照的に、ノーマン・パウエル、CJ・マッカラム、デイミアン・リラードが次々と得点を重ねた。この強烈な先制パンチから第1クォーターを43-22とした時点で、ナゲッツの闘志は折れてしまったようだ。もとより、彼らは身体をすり減らしてまでこの試合に勝つ意味はない。

ヨキッチは「絶対に勝たなきゃいけないという気持ちをプレーで表現したのは彼らだった。逆に僕らは何もせず、ただそこにいただけ。彼らは素晴らしかったけど、その仕事を楽にさせてしまった」と完敗となった試合内容を反省する。

こうしてほとんどの時間帯で15点以上のリードを保ったブレイザーズが、一度もビハインドを背負うことなく132-116で快勝。42勝30敗で西カンファレンス6位となり、8シーズン連続のプレーオフ進出を決めた。

ヘッドコーチのテリー・ストッツは一安心といった表情で「簡単なシーズンではなかった」と語る。「(ユスフ)ヌルキッチがシーズンの半分を欠場し、CJも3分の1は出られなかった。私がこのチームを率いるようになって一番難しいシーズンだったと感じる。だからこそ、目に見える成果を出すことができてうれしい」

長いレギュラーシーズンを振り返ると、一番の危機はヌルキッチとマッカラムが戦線復帰し、ここから調子と順位を上げていかなければならなかった4月中旬に5連敗を喫した時だろう。4月に入ってから3勝10敗と急ブレーキ。その大きな要因はリラードがハムストリングの筋肉を傷めて3試合を欠場し、その後も本来の調子を取り戻せなかったことだ。

リラードはチームが最も苦しい時期に「僕らに必要なのは全員が鏡を見ること」とチームメートに檄を飛ばしている。「勝敗がどうあれ自分たちと向き合うこと。負けた試合でも一生懸命戦ったことに誇りを持ち、そして上手くいかなかった部分を心に刻む。それでようやく次に進めるんだ」

リラードとチームは実際にそうすることで5連敗から抜け出すと、その後は10勝2敗と快進撃を見せ、レイカーズに競り勝ってプレーイン・トーナメント回避を決めた。

ナゲッツ戦を終えた会見で、リラードはレギュラーシーズンを振り返るとともに、プレーオフへの意気込みを語った。「今シーズンはケガ人が多く、僕もトラブルを抱えながらプレーした。でも毎シーズンどんな状況であれ、僕たちは努力することを止めない。どんな逆境にあっても、どの時点からでもポストシーズンへの道を切り開いてきた。それが僕らのやり方だ。大事な局面で自分たちのベストのバスケットボールができた、それが今までのシーズンとの違いだし、経験を積んだことによる僕らの成長だと思う」

「どれだけ勝ちたいと思っているかは、言葉じゃ上手く表現できない。優勝したい、なんて言葉じゃ足りないよ。それは自分のことだけじゃなく、この街のことも考えるからだ。僕が想像するのは大通りでの優勝パレードさ。毎シーズン、プレーオフが始まるこのタイミングで世界を驚かせてやろうと考える。カンファレンスファイナルまで進んだ2年前がそうだったようにね。その時は負けてしまったけど、僕のマインドは常に『僕たちならやれる』だ。本当にそう信じない限りは、できないことだと思う。この街のために、このチームのために、自分自身のために、できることは全部やる。プレーオフの舞台にまた立てることに興奮しているよ」