富山グラウジーズ

後半開始から3分で11得点、試合の流れを変える働き

5月16日、富山グラウジーズが琉球ゴールデンキングスとのチャンピオンシップのクォーターファイナル第2戦で持ち味のオフェンス爆発により97-74で圧勝。75-92で敗れた前日の雪辱を果たし、第3戦へと持ち込んだ。

琉球は前からの激しいプレッシャーで連続スティールに成功するなど、初戦に続いての強度の高いディフェンスを見せるが、富山はジョシュア・スミス、ジュリアン・マブンガと大黒柱が得点を重ねることで、主導権を琉球に渡さない。その結果、ともに高確率でシュートを沈める殴り合いとなった。それでも26-26の同点で第2クォーターに入ると、ともにオフェンスが停滞する。琉球は良い形で外角シュートのチャンスを作り出すが決めきれない。一方の富山はターンオーバーが第1クォーターの5つに続き、このクォーターも6と拙攻が目立ち、一転してロースコアとなった。

富山が42-40とリードして後半へ。得点が伸びないのは『矛』の富山ではなく『盾』の琉球に有利な流れかと思われたが、第3クォーターに試合を動かしたのは富山の岡田侑大だった。後半開始から3分で11得点と大爆発、53-43と一気にリードを広げ琉球がたまらずタイムアウトを取る。

その後も富山、というより岡田の勢いが止まらない。結局、このクォーターだけで19得点を挙げた岡田の活躍で富山が13点差までリードを広げる。第4クォーター序盤、琉球は並里成が連続でプルアップシュートを成功させ点差を1桁にまで戻すと、さらに速攻のチャンスを迎えるがここで痛恨のパスミス。直後に富山はスミスが持ち前のインサイドアタックでバスケット・カウントを獲得することで、試合の主導権を離さなかった。

その後、琉球はディフェンスの集中力がきれてしまい富山は順調に得点を重ねていく。残り4分、16点をリードしているもののマブンガがファウルアウト。一つのきっかけで形勢が変わりかねない嫌な雰囲気だが、最後まで力強い攻めを繰り出すことで琉球に反撃のきっかけを与えなかった。マブンガ、スミスの大黒柱が安定の20点オーバーだったことに加え、前日は計29得点だった岡田、宇都直輝、前田悟、松脇圭志の日本人カルテットで計47得点と、チーム全体でバランス良く得点を重ねた富山が勝利した。

ジュリアン・マブンガ

「後半最初の5分に集中しよう」の共通認識がハマる

この試合、富山はインサイドを支配したが、浜口炎ヘッドコーチは「ジョシュアとマブンガのところで、昨日よりもインサイドにボールを集めるのが一つの狙いでした」と狙い通りだったと明かす。

富山は第3クォーターを『マジッククォーター』と呼んで重要視しているが、前日の20−28に対し、今日は28-17と快心の内容。この大一番でも第3クォーターを制した時の強さを証明した。「ハーフタイムに、昨日は第3クォーターに崩れてマジッククォーターを取れなかったので、今日は最初の5分に集中しようと話し、共通認識でトライしました」という指揮官の意識付けがハマった。

一方、琉球の藤田弘輝ヘッドコーチは、「後半、ディフェンスが崩れてしまったのが大きな敗因です。後半だけで55失点と僕らのゲーム運びができなかった」と堅守崩壊を敗因に挙げる。昨日に比べ劣勢となったインサイドゲームについて「昨日より今日の方が日本人選手のドライブを含めてアグレッシブにアタックしている印象でした」と振り返った。

明日の第3戦、両チームともここまで来ると、いかに普段のバスケットボールを遂行できるかが肝となる。浜口ヘッドコーチは言う。「今から何か変えられることはないので、いかに選手をリフレッシュさせて普段通りに入れるのか。そこに気をつけて明日に臨みたい。特に修正点はないです。同じことにトライしたいです」

藤田ヘッドコーチは「ああだこうだといろいろありますが、明日負けたらシーズンが終わってしまいます。しっかり前を向いて次、どうすべきか、アグレッシブにキングスらしいバスケットをできるようにしたいです」と締めくくっている。