男子日本代表

文=鈴木健一郎 写真=FIBA.com

リバウンドに四苦八苦させられ速攻を出せず

U-18アジア選手権の準々決勝、勝てば来年のU-19ワールドカップ出場権が得られる試合だったが、日本はオーストラリアに52-88の完敗を喫した。

日本の先発は中村拓人、中田嵩基、松崎裕樹、結城智史、三谷桂司朗。立ち上がりこそ確率良くシュートが入った日本だが、しばらくするとオーストラリアの高さと強さに押され始める。ディフェンスリバウンドを確保するのに四苦八苦させられ、良い形で攻めに転じられない。またオーストラリアも戻りが早く、速攻の先陣を切ろうとする日本の選手がケアされてトランジションのスイッチが入らなかった。

速攻を封じられた日本はドライブで打開を図るが、一人はかわせても相手のヘルプが早く、厳しい体勢でのシュートを強いられて得点が伸びない。守りに転じるとゴール下まで力で強引に押し込まれ、プレッシャーをかけてもしぶとく決められた。オーストラリアも早い展開を心掛け、急ぎすぎてイージーなターンオーバーも多かったのだが、それ以上に一気にゴール下まで持ち込む積極策がサイズの利を生かし、日本を圧倒することになった。

前半を終えて27-42と15点のビハインド。速攻を出せないと苦しい日本だが、それ以前にインサイドの攻めを止められず、3ポイントシュートでも10本中成功わずか1本と当たりが出ない。点差以上に厳しい内容となった。

後半、ドライブの積極性をより高め、そこからのパスでズレを作り出そうと試みるも、アウトサイドシュートの確率はやはり上がらず、ゴール下まで攻め込んでもブロックショットを浴びる。横地、中村、富永啓生、半澤凌太、河村勇輝と個々のハッスルは目立っても、それが試合の流れを日本に呼び込むには至らなかった。

男子日本代表

『走るバスケット』で圧倒された日本

本来であれば日本がスピードとアジリティを生かした『走るバスケット』でオーストラリアを振り回したいところ。だが最終クォーターのオーストラリアは日本の狙う素早い展開に応じ、走り負けることなく、なおかつ強さと高さを発揮してきた。むしろゴール下まで走り込む選手にボールを託し、それでオフェンスを完結させられるオーストラリアの良さばかりが目立つ展開になった。

オーストラリアは終盤も日本のスピードに食らいつき、ヘルプディフェンスでズレを作らせず、さらには外のシュートにもしっかり寄せて日本に付け入る隙を与えない。先に足が動かなくなったのは日本で、残り2分あまりで点差は30に。オーストラリアはなおも緩みを見せず、リードを36点にまで広げて勝利した。

リバウンドは31-58、88失点のうち64がペイントエリア内でのものと、オーストラリアの高さと強さに圧倒された試合となった。ただ、ファストブレイクポイントで3-12、アシストで6-25と大きく上回られたことは、体格の差では片付けられない完敗だったことを示している。これで日本はベスト8敗退で順位決定戦に回ることに。残念ながら来年のワールドカップへの出場権を逃すことになったが、国際大会での経験を積み、世界との差を感じられたことは若い選手たちにとって大きなプラスとなるはずだ。

U-18日本代表メンバー
4 中村拓人(PG / 中部大学第一高等学校 3年)
5 浅井修伍(PF / 福岡大学附属大濠高等学校 3年)
6 半澤凌太(SF / 筑波大学 1年)
7 富永啓生(SG / 桜丘高等学校 3年)
8 結城智史(PF / 土浦日本大学高等学校 2年)
9 松崎裕樹(SF / 福岡第一高等学校 3年)
10 河村勇輝(PG / 福岡第一高等学校 2年)
11 三谷桂司朗(PF / 広島皆実高等学校 2年)
12 中田嵩基(PG / 福岡大学附属大濠高等学校 3年)
13 飯尾文哉(SG / 洛南高等学校 3年)
14 横地聖真(SF / 福岡大学附属大濠高等学校 2年)
15 金田龍弥(SF / 大阪学院大学高等学校 3年)
[ヘッドコーチ]吉田裕司
[アソシエイトヘッドコーチ]トーステン・ロイブル