15-0のランで主導権をにぎり、前半を圧倒
8月7日、女子日本代表はカナダとの国際強化試合第2戦に臨んだ。第1戦は3点差の辛勝だったが、トム・ホーバスヘッドコーチが「しつこいディフェンスもやって、リバウンドも頑張った。ターンオーバーも少なかった。アシストも多かった。最初から最後まで良かった」と絶賛する内容で88-50と快勝した
先発は第1戦と変わらず町田瑠唯、水島沙紀、宮澤夕貴、長岡萌映子、髙田真希の5人。町田のタフなミドルシュートで先制した日本は序盤からアクセル全開でカナダを圧倒した。オフェンスでは計算され尽くした絶妙なタイミングのスクリーンによってズレを作ると、素早いパス回しでノーマークを作り出し、しっかりとシュートを成功させていく。
ディフェンスでは半身でビッグマンへのパスコースをふさぎ、インサイドにパスを入れる前の強いプレッシャーで相手のやりたい形を作らせず、高さの不利を覆す。そして、ボールをプッシュし、速攻を次々と繰り出す。町田のピック&ロールや長岡の速攻、宮澤の連続3ポイントシュートなどで15-0のビッグランを作り出し、25-11で第1クォーターを終えた。
第1クォーター終盤にメンバーを総入れ替えしたが、日本の勢いは落ちない。本橋菜子が的確な状況判断でオフェンスを引っ張り、素早いローテーションとインサイドへのダブルチームでカナダの攻撃を防ぐ。第2クォーター終了間際には、宮澤が4本目の3ポイントシュートを沈め、46-23とダブルスコアで前半を終えた。
修正力と遂行力が光った好ゲーム「このバスケは楽しい」
第3クォーターは3ポイントシュートが決まらず得点が伸び悩んだが、それでもインサイドを締めることで相手に起点を作らせず、ボールがただ上を回るだけの状態を作り出して24秒バイオレーションを誘発するなど、堅いディフェンスで20点前後の点差をキープした。
その後、赤穂ひまわりが何度もオフェンスリバウンドに飛び込みポゼッションを増やすと、三好南穂が最終クォーターだけで3本の3ポイントシュートを固め打ちするなど、各選手がそれぞれの強みを生かしリードを38点にまで広げ勝利した。
トムコーチは「第1ゲーム、ペイントドライブは悪くなかった。でももっと上手にできると思っていて、今日のゲームは非常に良かった。これはこのチームが言うことをちゃんとやっているということ。若いチームでウチのバスケを分かっていない選手が多いですが、今日は非常に良かった」とコメントし、選手たちの修正力と遂行力を称えた。
また「3ポイントの確率が足りなかった(29%)」とパーフェクトには至らなかったが、「このバスケは楽しい。お客さんもすごい楽しいと思う。相手は楽しくないと思います。それをやりたい」とポジティブなコメントに終始した。
3ポイントシュート4本を含むゲームハイの22得点を挙げた宮澤は「1試合を通してチームメートにノーマークで打たせてもらったというのが正直な感想で、そのノーマークの3ポイントシュートをいかに精度良く決めるかというのが自分の仕事なので、その面では良かったです」と自分のパフォーマンスに及第点を与えた。
そして「今日の流れはベストなパフォーマンスでした。ディフェンスからブレイクを出すのが日本のバスケットだと思うので、この速い展開をどの相手に対してもできるようにしたい」とさらなる向上心を覗かせた。
カナダに2連勝し、チームの強化が進んでいることを証明した日本。だが9月22日に開幕するワールドカップ代表の座は12枠と限られている。どのメンバーが出てもチームレベルが落ちないことは素晴らしいことだが、メンバーを決定するトムコーチにとっては嬉しい悩みとなりそうだ。