「無理をせずに膝ファーストでやっていけたら」
東京オリンピックで金メダルを目指しているバスケットボール女子日本代表は、4月16日から25日の期間で第2次強化合宿を実施している。昨日、渡嘉敷来夢が取材に応じた。
長らくエースとして日本代表を支えてきた渡嘉敷は「主にリハビリとして参加している」と正直に語った。渡嘉敷は12月16日に行われた皇后杯の準々決勝で右膝を負傷。検査の結果、右膝前十字靭帯断裂の重傷であることが発表された。
前十字靭帯断裂は復帰までに8カ月から1年を要すると言われ、選手生命に関わる大ケガだ。気になるのは東京オリンピックに間に合うかどうかだ。予定通り、約3か月後に開催されるとなれば、ギリギリ間に合う可能性もある。渡嘉敷は「ほぼ無理だろうと思っている方もいると思います。自分自身、ベストを尽くしてどこまでいけるかというのを考えていて、オリンピックをあきらめたわけではありません」と言う。
東京オリンピックでの金メダル獲得という目標を簡単にあきらめることができないのは当然だ。しかし、今の渡嘉敷には、ケガを押して何が何でも出場したいという強い意欲はない。
「無理をせずに膝ファーストでやっていけたら。東京オリンピックが私のキャリアで最後の大会になるわけではないので。その先も見据えた上でやっていきたい」
自分のバスケ人生だ。誰が何を言おうと主導権は渡嘉敷にある。だからこそ、渡嘉敷は揺らぎの中で自分自身と戦っている。「正直、あきらめることは今すぐにできます。嫌になったらあきらめちゃえって思いながらも、そんなに簡単には自分に負けたくないです。周りではなく自分自身との戦いかなと思ってます」
193cmのサイズと国際大会の経験が豊富な渡嘉敷は絶対的な戦力であり、日本代表に欠かせない存在だ。指揮を執るトム・ホーバスにとっては、是が非でも出場してもらいたい選手の一人に入るはず。それでも、そんなホーバスヘッドコーチはバスケットの話はあまりせず、膝の調子を気にかけてくるくらいの距離感だそうだ。
このように膝のリハビリを続けながら、東京オリンピックを目指している渡嘉敷は「テーマは無理をしないこと」と言い切った。戦える状態に回復することを祈り、闘志に火が付く日を待ちたい。