多彩なオフェンスのスキルを発揮、マジック守備陣を手玉に取る
ラプターズはマジックを相手に113-102で勝利した。第3クォーター途中に混戦から抜け出し、その後はセーフティーリードを保つ快勝となったが、その展開を主導したのはベンチから出てキャリアハイの21得点を記録した渡邊雄太だった。
立ち上がりはマジックに勢いがあったのだが、第1クォーター残り4分半で投入された渡邊が流れを変える。リバウンドを取ってそのままボールをプッシュして速い攻めに持ち込み、マラカイ・フリンのジャンプシュート成功に繋げると、続くポゼッションでは同じようにリバウンド奪取からのボールプッシュで、今後は自らシュートに持ち込んで初得点を記録。3度目のリバウンドからのプッシュではスタンリー・ジョンソンにボールを預けてすぐにリターンをもらい、3ポイントシュートを沈めた。
渡邊の勢いは止まらない。先ほどの3ポイントシュートを意識するディフェンスの逆を突くドライブからダンクを叩き込むと、ハンドオフのフェイクから再びドライブで切り込み、今度は逆サイドのコーナーで待つロドニー・フッドの3ポイントシュートをアシスト。さらにはまたリバウンド奪取からボールプッシュし、どう守れば良いか迷うディフェンスのギャップを突くプルアップを決めた。渡邊は第1クォーターのラスト4分だけで4本のシュートすべてを沈めて9得点。チームの挙げた14得点のうち12に絡み、しかもすべてが異なる攻め方と、プレーの多彩さが光った。スタートダッシュでつまずいたチームを渡邊が一人で救い、リズムに乗せた。
ラプターズはいまだコンディションが整わず、この試合ではカイル・ラウリー、OG・アヌノビー、パスカル・シアカム、さらにはギャリー・トレントJr.も欠場。フレッド・バンブリートが戦線復帰を果たしたものの、2週間ぶりの試合とあってプレータイムも制限されて6得点に留まっている。そんなチームを引っ張ったのは渡邊であり、もう一人はキャリア3年目で初先発の抜擢に30得点で応えたポール・ワトソンだった。
第4クォーターの勝負どころも任された渡邊は、好守に安定したプレーを披露。残り1分20秒、ドライブで2人をかわして、飛び込む3人目をフローターでかわす得点を奪うとともに、アンドワンのフリースローも獲得して、思わず笑みとガッツポーズが飛び出す。このボーナススローも決めて、完璧な夜を締めくくった。
渡邊は27分間のプレータイムで21得点6リバウンド2アシスト1ブロックを記録。立ち上がりからオフェンスでの積極性を前面に押し出し、なおかつ難しいプレーも成功させたことで、複数の主力を欠く中でチームメートが彼を信頼してボールを預けたのが大量得点の理由。そして渡邊は多彩なオフェンスのスキルを発揮してチームを勝利に導いた。