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スポーツ振興のためにくじを買い、試合観戦に楽しみをプラス

昨年12月、スポーツ振興くじの対象にバスケットボールを加える改正法が成立した。様々な議論を経て改正案をまとめたのはスポーツ議員連盟で、これまでサッカーだけだったくじの対象をバスケにも広げる。また同じタイミングで1試合の結果を予想したり、優勝チームや順位などシーズンを通じて予想するくじも新たに導入できることが決まった。

くじの収益は、日本のスポーツ振興のために役立てられているが、更なる助成財源確保のためにバスケが新たにくじの対象に加えられたという。今回の改正法では、くじの売上からあてられる助成金の対象が地域のスポーツ施設における空調整備や医療スタッフの確保などに充てられるようにすることが盛り込まれている。

新しく加わる競技がバスケであることは、バスケットボール界からの要望があったこと、またBリーグが2016年の発足から目覚ましい発展を遂げるだけでなく、健全な運営が続いていることがポイントとなったようだと『スポーツくじ』の担当者は言う。経営破綻、選手への給与未払いなどが続くようであれば、不正行為のリスクが増す。そうならない信頼性が認められたという意味では、Bリーグにとっては一つの勝利と言っていいだろう。

くじを運営する文部科学省所管の独立行政法人日本スポーツ振興センターでは、実施に向けて動き始めたばかり。担当者によれば、改正法の成立から間もないため、くじの内容であったり実施時期はまだ決まっておらず、これから様々な課題をクリアしながらアイデアを具体化していくとのこと。

サッカーを対象にしたスポーツくじ『toto』では、13試合について「勝ち、引き分け、負け」を予想する。3通りの結果×13試合で、全試合的中の確率は約159万分の1。そう簡単に当たるものではないが、スポーツくじは公営ギャンブルではなく『くじ』である。その所以は、スポーツ振興を目的としていることにある。くじを買うユーザーの視点でも、還元率が50%のスポーツくじは射幸性が低い。スポーツくじのユーザーは、突き詰めて考えれば試合結果を血眼になって予想する人ではなく、スポーツ振興のためにくじを買って、なおかつ試合観戦に新たな楽しみをプラスすることを望む人、である。

Bリーグ

『バスケ版スポーツくじ』はどんなくじの方式になるのか?

ここからはまだ見ぬ『バスケ版スポーツくじ』の方式を予想してみたい。サッカーを対象としたスポーツくじ『toto』には、1試合の結果は「勝ち、引き分け、負け」の3通りあるが、バスケには引き分けがない。しかしBリーグは週末に連戦を行うので、連戦の結果に対して「2勝、1勝1敗、2敗」という予想はできそうだ。B1が24チームになる2022-23シーズンで考えれば、これで3通りの予想×12試合が成り立つ。B2から1試合を加えることで、サッカーの『toto』と同じ『約159万分の1』の当せん確率のくじが出来上がる。

法改正により1試合を対象にしたくじも販売可能となったが、これも単純な試合結果の予想では「勝ち、負け」しかないため、くじとしては成立しづらい。そこで考えられる選択肢の一つが、クォーターごとの「勝ち、引き分け、負け」を予想するもの。バスケはチームの実力が結果に反映されやすい、つまりアップセットの少ない競技だが、クォーターごとの結果となれば何でも起こり得る。第1クォーターから第3クォーターまでを的中させ、さらにその中で確率の少ない「引き分け」を当てている状態だとしたら、第4クォーターで大きな配当を得られる可能性が出てくる。これはあくまで筆者の考えた商品案ではあるが、こうして迎えたラスト10分間の興奮は、他では味わうことのできないものになりそうだ。いずれにせよ、試合終了までドキドキさせられるくじであれば、試合観戦がより一層楽しめることだろう。

これまでのスポーツくじの助成金は、サッカーだけに還元されてきたわけではない。助成金は選手や指導者の育成、グラウンドの芝生化、地域のスポーツ施設の整備など様々なスポーツ団体や地方公共団体が行うスポーツ事業に役立てられており、スポーツくじがあったからこそ実施できたスポーツ事業はたくさんある。我々が普段の試合観戦で訪れるアリーナも、入り口に「この施設の改修にはスポーツくじの助成金が使われています」といった表示があるケースは多いことだろう。

Bリーグがスポーツくじに加わることは、日本のスポーツ振興の幅を広げ、日本バスケ界が目指す「バスケットボールで日本を元気に」の実現に大きく寄与することになる。一部で報道のあったように2022年からの発売開始が実現するのかどうか、期待して待ちたい。