満身創痍だったはずの英雄がラストゲームで60得点を記録。

こんなフィナーレを誰が予想できただろうか? レイカーズ一筋20年、コービー・ブライアントの現役ラストゲームである。これまでの「引退興行」は、敵チームのファンが、その感情に隠された大いなる敬意と愛情をコービーに示す場だったが、最終戦は別。本拠地ステイプルズ・センターで、コービーをずっと見続けてきたレイカーズのファンが、英雄に別れを告げる場だった。

シーズン終盤のコービーは満身創痍、特に肩の痛みを気にするそぶりを何度となく見せた。長い時間はプレーできず、観客のコービー・コールに応えられない試合も何度かあった。すべては途中で燃え尽きないため。この日のステイプルズ・センターまでたどり着かなければならなかった。

それが、現役最後のゲームで60得点のパフォーマンスだ。彼が60得点を記録するのは実に7年ぶり。対戦相手のジャズにプレーオフ出場の望みが絶たれていたこと、レイカーズのチームメート全員がコービーに点を取らせるシフトに徹したこと、という要素はあった。それでも、この日のコービーのプレーは常識を超越していた。

前半に22得点を挙げたところまでは想定内。しかし、コービーは後半さらにペースを上げてきた。第3クォーターと第4クォーターはフル出場で38得点。特に第4クォーター終盤には疲労でフラフラになりながらも、ボールを持ち、ドライブし、シュートを決めた。残り2分15秒に2本のフリースローを決めてから、レイアップ、ブロックショット、3ポイントシュートとあらゆる形で11連続得点。86-96で負けていた試合を99-96とひっくり返した。

残り4秒でジョーダン・クラークソンの派手なダンクをアシストすると、コービーはハグの嵐に飲み込まれた。17勝65敗、20年間のキャリアで最低のシーズンとなったが、最後にはネガティブな印象をすべて洗い流して、シーズンを終えたのだ。

敵チームのファンが敬意を示す引退興行の最後に、レイカーズのファンが彼に愛情を示した。そんな彼らに向けて、マイクを握ったコービーが感謝の言葉を贈った。「皆さんは常に僕の心にいます。本当に感謝しています。心からのありがとうを言わせてください」

「なんて言ったらいいのかな?」との言葉に続いて、満面に笑みを浮かべて彼は言った。「Mamba out」(マンバは去るよ)