ジェームズ・マイケル・マカドゥ

勝負どころで守備の強度を上げたSR渋谷、力尽きた琉球

サンロッカーズ渋谷はホームで琉球ゴールデンキングスと対戦した。互いに積極的なアタックを繰り返す点の取り合いは、終盤にディフェンスの強度で上回ったSR渋谷が、96-85でこの一戦を制した。

試合後、琉球の藤田弘輝ヘッドコーチが開口一番「予想していたタフで、フィジカル、アグレッシブな試合になりました」と語ったように、両チームとも序盤から激しい肉弾戦となる。その中でも第1クォーター中盤に琉球はリバウンドから走ってアウトナンバーの状況に持ち込み、石崎巧が3ポイントシュート、さらにドウェイン・エバンスの速攻で20-12と先行する。その後も琉球リードの展開は続くが、第2クォーターにSR渋谷は古巣対決となった山内盛久の連続3ポイントシュート成功で残り4分に34-34と追いつく。だが、前半だけで12ターンオーバーとSR渋谷のミスも目立ち、46-43と僅差だがリードして前半を終える。

第3クォーターに入ると今後はSR渋谷が、琉球のミスにつけこむジェームズ・マイケル・マカドゥ、ライアン・ケリーの連続ダンクにより70-63とリードする。だが、琉球もすぐに盛り返すと、第4クォーターのオフィシャルタイムアウトで渋谷の1点リードと白熱した展開が続く。

だが、ここからの勝負どころでSR渋谷は広瀬健太がスティールから速攻を決めると、再びターンオーバー奪取からマカドゥがダンクと、得意の守備で流れを呼び込む。これで完全に勢いに乗ると、石井講祐の3ポイントシュート、マカドゥのスチールからベンドラメ礼生の速攻が飛び出し、残り3分17秒でリードを一気に2桁に広げる。このまま最後まで守備の強度が落ちなかったSR渋谷がそのまま逃げ切った。

SR渋谷の伊佐勉ヘッドコーチは、「我慢の時間帯が続きましたが、後半ディフェンスの強度が上がった時、ターンオーバーを誘発して走れたのが良い流れに繋がったと思います」と勝因を語る。

また、「フィジカルで負け、得点エリアの外でプレーをさせられるなど、どんどん上に追いやられてしまう。そこでパスの出しところがなくてスティールに繋がるミスをして、そこから前半、18点を取られました。相当悪かった状況の中、3点差の負けで終えられたのは助かりました」と振り返った前半からの巻き返せた要因はシンプルだった。

「前半は全くゲームプランができていなかったので、ハーフタイムにホワイトボードを見直せと言いました」

今日の勝利は、激戦のチャンピオンシップ出場に向けて大きな価値を持つものだ。それに加え、試合中に高い修正能力を見せて勝ちきった内容の面でも大きな弾みとなる白星となったはずだ。

今村佳太

「選手たちはよく我慢して頑張ってくれた」

琉球の藤田ヘッドコーチは、第4クォーター後半の失速について次のように語る。「正直、ここまでインテンシティの高いチームとしばらく試合をしていなかったです。その中で今は2人が欠場して選手が少しいないこともあって、最後はちょっと力尽きた感はあります。ただ、ターンオーバーやミスを悔やんでも仕方ない。ミスがあったから負けたというのはでないので、そこは切り替えたいです」

また、琉球にとってはフリースローの本数で19-43と倍以上の差となったのが痛かった。「フリースローを43本打たれたのは久しぶりで、そこはコントロールできるところとできないところがあります。自分たちでコントロールできるディフェンスの部分をしっかり修正して、明日はもう少しオフェンスを整理する」

こう語る指揮官は「選手たちはよく我慢して頑張ってくれたと思います」と締めくくっており、連敗阻止に向けどんな策を打ってくるのか。中でも本日はファウルトラブルもあって8得点、得意のオフェンスリバウンドがわずか1本に終わった大黒柱ジャック・クーリーが本来のプレーを見せられるかが最大のキーポイントとなってくる。