出場機会の少ない『ヤニスの兄』が語る、チーム愛とプライド
バックスは前日のセルティックス戦に続く2日連続の試合で、足首を痛めて万全ではないエースのヤニス・アデトクンボ、さらにはクリス・ミドルトンとドリュー・ホリデー、ドンテ・ディビンチェンゾと前日のスタメンのうち4人を、またPJ・タッカーとボビー・ポーティスも休養させた。万全でないまま過密日程をこなす選手に大きなアクシデントが起きる前に、またこのニックス戦の後はアウェー6連戦の長期遠征とあって、ここでまとめて休養を取らせることを指揮官マイク・ブーデンホルザーは決断した。
最後は96-102で敗れたが、バックスは主力抜きでも第3クォーター終了時点で77-81と粘りを見せ、一度は11点差まで突き放されるも、ラスト1分半で96-96に追い付く大健闘を見せた。この試合で最も目立ったのは、23得点10リバウンド5アシストと、すべてチームハイの数字を残す活躍を見せたサナシス・アデトクンボだ。
試合後の会見で「名前が同じ、別の誰かみたいな活躍でしたね?」と聞かれたサナシスは、「チームを引っ張る役割を任されてうれしかったからね」と、本当にうれしそうな表情で語った。
彼はパワーフォワードだが、この試合では欠場者が相次ぐチーム事情を受けてポイントガードを務めた。「ポイントガードでプレーしたのは17歳か18歳の時が最後だったと思うけど、チームが勝つために必要だとコーチが考えるなら、僕はどのポジションでもプレーする。全員がそうやって助け合って、勝つためにベストを尽くすんだ」と彼は言う。
今シーズン33試合目の出場となったが、普段は数分のプレータイムしか与えられないサナシスにとっては、これが今シーズン初の先発であり、37分のプレータイムも、得点もリバウンドもアシストも、すべてがキャリアハイの数字だ。弟のヤニスばかりが脚光を浴びているが、彼にはチャンスさえ与えられればもっと活躍できる、という思いはないのだろうか?
この問いに、サナシスは「あいつはほとんどプレーしない選手だ、って思う人もいるだろう。でも、それはビッグチームの一員であることの意味を理解していないからだ。僕はこの素晴らしいチームの一員であること、そして自分の仕事に誇りを持っている」と語る。
「全員が毎日ハードな練習に取り組んでいる。プレーする機会があるかどうかは分からない。あるかもしれないし、全然ないかもしれない。でも僕に言わせれば、その時に準備ができていることが大事なんだ。自分の実力を示すよりチームの勝利が大事。そういう気持ちでやっている。僕の価値は、僕自身と家族が分かっていれば大丈夫さ」
そして彼は自分のスタッツを眺めて「ターンオーバー3つも、僕にとっては滅多に数字だよ」と爆笑した。「でも、それも誇りに思う。このチームの一員としてベストを尽くした結果だからね。特に今日は試合開始からコートにいたわけだし(笑)」
ルーキーの22歳、ジョーダン・ウォーラもこの試合で初先発し、21得点10リバウンドと結果を残した。主力を揃って休ませた試合で黒星を喫したが、チームにとってはポジティブな敗戦だった。