辻直人

篠山「 強いから勝つのはあるけど、勝つことで強くなる部分もある」

川崎ブレイブサンダースは宇都宮ブレックスとの天皇杯決勝戦に76-60で勝利し、2014年以来4度目の天皇杯優勝を果たした。

川崎はチームハイの13得点を挙げた増田啓介を筆頭に8選手が7得点以上を挙げるバランスの良さが目立った。指揮を執る佐藤賢次ヘッドコーチも「今日に関しては、チームで作ったシュートチャンスを誰が打っても(入る)という感じだった。宇都宮は簡単にチャンスを作らせてくれるチームではないので、みんながアタックしてズレを作って、とにかく空いた人が打ち続けるプランを40分間できた」と振り返る。

また、ビッグラインナップが攻守に機能したことで3ポイントシュートが26本中11本成功(42.3%)と効果的に決まり、宇都宮を60点に封じることに繋がった。佐藤ヘッドコーチは言う。「選手の特徴に合わせてシステムを作るのがコーチの仕事。ビッグマンやガード陣に力があって、そこをバランス良くするために、今年はスペースを広げたシステムに挑戦しています。激しいプレーが軸にあって、そこに加えてニック(ファジーカス)の強みを生かしたビッグラインナップがある。そこをどう融合させるかが優勝への道だと選手に伝えていて、手応えを感じています」

宇都宮の比江島慎が「やられてはいけない選手にやられてしまった。川崎は辻(直人)選手とニック選手が決めた時に乗ります。もっと辻さんの部分は注意を払うべきだった」と反省の言葉を語ったように、後半にリードを2桁に乗せた辻の連続3ポイントシュート成功は一つのターニングポイントとなった。辻も自画自賛し、このように語る。

「前半はシュートの迷いが出てしまって、自分の流れで打てなかったです。それでもベンチにいた(大塚)裕土さんや熊谷(尚也)、長谷川(技)に『試合出てんのか?』って言われて、それで気持ちが楽になって後半のシュートに繋がりました。我ながらええとこで決めたなと。美味しいところを持って行ったなと感じています」

7年前に天皇杯を優勝した時、川崎はリーグ戦でも優勝し2冠を達成した。その経験を知る篠山竜青は、今回の優勝がもたらす効果をこのように語った。「結果が出ることによって、自分たちがやっていることが間違いじゃないと分かるのは大きいです。強いから勝つのはあるけど、勝つことで強くなる部分もあるし、勝って甘い蜜の味を知ったからこそ優勝をイメージしやすくなる。特別な戦術ではなくてべースの部分で勝ち切れたのが大きく、それをもっと分厚くすれば勢いが出ると思う」

Bリーグ誕生以降、念願の初タイトルを獲得した川崎。レギュラーシーズン後半戦に向けて弾みとなる大会になったことは間違いない。