U-17w

文=丸山素行 写真=FIBA.com

全員ミスマッチとなるサイズの差を運動量でカバー

U-17女子ワールドカップ、決勝トーナメントの初戦で中国に勝利したU-17女子日本代表は準々決勝でハンガリーと対戦した。速い展開に持ち込み前半をリードするが、生命線の3ポイントシュートの精度が上がらず、後半になると集中力が落ちて62-74の逆転負けを喫した。

序盤は全員がミスマッチとなるハンガリーの高さと身体の強さに面食らい、4-11とビハインドを背負った日本代表だが、ボールから目線を外してでもボックスアウトすることに集中してディフェンスリバウンドを取ると、そこから素早いオフェンスに転じ運動量で巻き返す。

得意のトランジションバスケットでアウトナンバーを作り出すと、藤田和のミドルシュートや三浦舞華の3ポイントシュートで追撃し16-17で第1クォーターを終えた。

その後もマヤ・ソフィア・マッカーサーや野口さくらがゴール下で身体を張ってインサイドを死守。オフェンスではドライブとパスアウトを徹底し、高橋未来の3ポイントシュートで23-21と逆転に成功した。第2クォーター終盤には速攻から三浦が3点プレーとなるバスケット・カウントをもぎ取り、そのファウルに抗議したハンガリーのヘッドコーチがテクニカルファウルを取られるなど、日本のペースのまま前半を終了した。

ところが日本が6点をリードして迎えた後半、高さとフィジカル差を埋めるべくスタートから飛ばしていた全力プレーがたたり、運動量に陰りが見え始める。ローテーションの遅れから3ポイントシュートを許し、ゴール下のイージーシュートを許すなどハンガリーに追撃される。残り4分、オフェンスリバウンドからセカンドチャンスポイントを決められ逆転されると、第3クォーター終了間際には、ブザービーターとなる遠距離3ポイントシュートを決められ6点のビハインドを背負った。

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後半に失速、世界の8強という舞台の難しさ

迎えた最終クォーター、この試合ベンチから11得点を挙げた平下愛佳が、オフェンスリバウンドからバスケット・カウントをもぎ取り連続得点を決めて追いすがる。だがスイッチミスからイージーシュートを許し、軽率なパスミスを犯すなど勝負どころでミスが目立ち始める。

そこからもう一段階ギアを上げ、マッカーサーの連続得点などで5点差まで詰め寄った日本代表だが、ドライブで一人を抜くも、2人目のヘルプにブロックを許し得点が伸び悩む。そしてギャンブル気味のハイプレッシャーでスティール間際まで追い詰めるも、ギリギリのところでボールを繋がれ得点を許し、ファウルゲームにも持ち込めず悔しい逆転負けとなった。

リバウンド数は44-56と2桁以上開いたが、完全に高さで負けていながらもオフェンスリバウンドにも参加し、14のオフェンスリバウンドを獲得したことは一つの収穫だ。常に全力プレーを続けたが、集中力を40分間保つことができずに勝利を逃した。サイズやフィジカルの差を運動量でカバーして世界と互角に戦えることは示したが、同時に高いパフォーマンスを40分間保つ継続性、世界8強という舞台での試合運びの難しさを体感したことだろう。

これで日本は5位-8位決定戦に回ることに。日本時間の本日21時30分からスペインと対戦する。