日立ハイテクの攻めを徹底的に対策、失点わずか44
Wリーグは今日からプレーオフ。セミクォーターファイナルで東地区3位の日立ハイテクと西地区4位のトヨタ紡織が激突した。
日立ハイテクは東地区で10勝6敗と大きく飛躍したサプライズチーム。 日本代表を率いてリオ五輪を戦った内海知秀をヘッドコーチに迎え、シャンソンから加入した谷村里佳を軸に完成度の高いバスケで強さを発揮した。しかし、西地区で8勝12敗のトヨタ紡織はそのスタイルを研究し、徹底的に対策してきた。インサイドの谷村里佳にボールを入れてから展開する日立ハイテクの攻めの形を作らせないために、センターの白慶花がペイントエリア内で奮闘して谷村のシールを許さず、他の選手もポストに入れるパスに手を出して引っ掛け、谷村に良い形でボールを持たせない。谷村に良い形でパスが渡ってもすぐにファウルでプレーを切り、リズムをつかませなかった。
運動量でもインテンシティの高さでも上回り、リバウンドやルーズボールをことごとくモノにしたトヨタ紡織が試合開始から5-0と先手を取る。日立ハイテクは北村悠貴の初得点を機にリズムをつかんだかに見えたが、トヨタ紡織はルーキーの平末明日香に東藤なな子と3ポイントシュートが決まるようになってリードを広げる。21-14で迎えた第2クォーター最初のプレーも、谷村の3ポイントシュートを白がブロック。受け身に回った日立ハイテクがなかなか縦へのスピードを出せない中、トヨタ紡織もオフェンスでは苦労しながらも東藤のアタックや飯島早紀の3ポイントシュートと個人のビッグプレーが飛び出した。ファストブレイクから白慶花の得点で、第2クォーター残り3分半で32-14。日立ハイテクは2度のタイムアウトを取っても流れを呼び込めない。このクォーターを16-3と圧倒した紡織が37-17と大差をつけて前半を折り返した。
後半に入って日立ハイテクはディフェンスの強度を上げるも、トヨタ紡織のエナジー満点のディフェンスをやはり崩せない。超ロースコアの展開の中で、ボール奪取から速攻に持ち込むのは足が動くトヨタ紡織の側。加藤優希の3ポイントシュート、ファストブレイクと連続得点が飛び出して、第3クォーター残り1分半で50-23。この時点で試合の趨勢はほぼ決まってしまった。
最終スコア67-44でトヨタ紡織が快勝。レギュラーシーズンでは上位のトヨタ自動車、デンソー、三菱電機に一つも勝てなかったが、プレーオフになって個々のエナジーがチームとして噛み合った。13得点12リバウンドを記録した東藤は、「プレーオフは一発勝負、前半から全開で行こうと思っていました」と試合を振り返る。
セミクォーターファイナルのもう1試合、西地区3位の三菱電機と東地区4位のシャンソンの一戦は、第2クォーターに相手のファウルトラブルを突いて逆転に成功した三菱電機が、後半は終始リードする展開に。終盤に猛反撃を浴びたものの、身体を張ったディフェンスに加えて18得点を挙げたセンターの西岡里紗の踏ん張りなどで逃げ切り、73-70で勝利を収めている。獲得したフリースローの数はシャンソンの6に対して三菱電機は24と、ファウルを誘って得点を重ねたことが差になった。
明日はクォーターファイナルの2試合、富士通vsトヨタ紡織とデンソーvs三菱電機が行われる。