「ベストを尽くして、このチームを良くしたい」
日本代表が参加するはずだったカタールでのアジアカップ予選は中止となったが、各大陸の予選は新型コロナウイルスの感染防止対策をした上で行われている。アメリカップ予選では、チームUSAにアイザイア・トーマスが参加。プエルトリコで行われたバハマ戦に出場し、19得点を挙げて93-77の勝利に貢献している。
175cmと小柄ながら卓越したシュート技術を武器に活躍し、2016-17シーズンには平均28.9得点を記録。セルティックス時代にはオールスターに2度選ばれたトーマスだが、2017年から股関節のケガに苦しみ、昨シーズンにはウィザーズでプレーしたもののシーズン途中に放出された。それから股関節の手術に踏み切り、今シーズンからのNBA復帰を目指したが、契約は得られていない。
予選4連勝ですでに本大会進出を決めているアメリカ代表は、トーマスが試合開始から3本連続で3ポイントシュートを決めて11-2と圧倒したが、バハマは失うものがないチャレンジャーの姿勢で食い下がる。連携が不十分でミスも多く、ターンオーバーはバハマの9に対してアメリカは16を記録。ゲームメークを担ったトーマスも6つのターンオーバーがあり波に乗れなかった。第2クォーター途中には逆転も許している。それでも前半最後の4分間で14-2のランでリードを作り出し、後半は危なげない試合運びを見せた。
試合後の会見で、トーマスは充実した表情で「ほぼ1年ぶりにプレーできて、すごく気分が良いよ」と語る。「自分でも『ちょっと錆びついてるぞ』と思ったプレーはあったけど、国のためにプレーして、勝てたのは良かった。動きは良かったし、疲れてもいないよ」
NBA復帰を実現する意味でも、彼は今この機会にアピールしなければならない。「僕の思いはみんな分かっていると思う。僕にとっては100%のコンディションを取り戻したこと、スキルを失っていないことを示すための舞台だ。もちろん僕だけじゃないく、このチームにいる全員にとって自分の力を示す場になる。それぞれが契約を勝ち取るため、自分がどんなプレーができるのか、世界に向けてアピールするんだ」
アピールが大事という意味では同じ立場で、自分のような経験がないチームメートにどんなアドバイスができるかと質問されたトーマスはこう答えている。「全員がプロで活躍できるレベルにあるよ。その中で僕に言えることは、ゲームを楽しみ、どんなチャンスでも生かすこと。いつも一生懸命に練習して、試合でごまかそうなんて思わないこと」
トーマスは続ける。「その中で僕はリーダーとしてチームを引っ張りたい。このチームは一緒にプレーした時間は多くないけど、合流初日から僕はリーダーであろうとしている。自分にできるベストを尽くして、このチームを良くしたい」