取材=写真=Getty Images

『スーパーチーム』時代のNBAでニックス優勝の可能性は……

リオ五輪で自身3個目の金メダルを獲得したカーメロ・アンソニーが次に目指すのはNBA優勝に他ならない。所属するニックスは長年低迷を続けてきたが、今オフにはデリック・ローズをブルズからトレードで獲得し、FAのジョアキム・ノアを獲得するなど、大規模な補強を実行して新シーズンに向け期待が高まっている。

そんな最中、アンソニーの出身大学シラキュース大のバスケットボール部ヘッドコーチを務めるジム・ボウハイムが、「残念ながら、カーメロはNBAでタイトルを取れないだろう」と『Syracuse.com』に語った。

「メロはNBAで優勝できる可能性のあるチームでプレーしたことがない。選手として、彼は所属チームをレベルアップさせてくれる存在だ。これまで所属したチームを強くしてきた。メロが加わるまで何も成し遂げられなかったナゲッツをプレーオフに導いたのは彼だ。それでも結局、レイカーズやスパーズは倒せなかった。ナゲッツに勝利したレイカーズかスパーズが、だいたい優勝していたと思う」

チームUSAの五輪3連覇に貢献した姿を、アメリカ代表のアシスタントコーチとして間近で見てきたからこそ、NBAでのアンソニーの現状を余計に不憫に思うのだろう。ボウハイムは、アンソニーがFAとなった2014年のオフ、ブルズへ移籍するよう勧めた。この時も結局、アンソニーはニックスと再契約を結び、今に至るのだが、奇遇にも当時ブルズのエースだったローズがニックスに加わり、同じくインサイドの要だったノアもニューヨークにやって来た。また、昨シーズンの新人王候補に挙げられたクリスタプス・ポルジンギスのさらなる成長が見込めるため、ニックスが東の上位争いに食い込む可能性は高い。

だが、現代のNBAは、一昔前に流行したスター選手3人による『ビッグ3』では優勝に不十分と言われる時代だ。ケビン・デュラントの獲得に成功し、ステファン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンによるスーパーチームを結成させたウォリアーズが、今シーズンも優勝候補筆頭に挙げられていることは、言うまでもない。ましてや同じ東カンファレンスには、レブロン・ジェームズを擁する昨シーズンの王者キャバリアーズも控えている。

ニックスがプレーオフ進出を狙うに十分な戦力を整えたことは確かだ。しかし、優勝候補かと言われれば、否定せざるを得ない。

ボウハイムの意見は辛辣なようだが、的を射ている。さて、アンソニーは恩師を結果で見返し、「恩返し」することができるのだろうか?

プレーオフ進出を狙うには十分なニックスだが、その先を望むにはカーメロ・アンソニーがコート内でのパフォーマンスはもちろん、リーダーとして規格外の働きを見せる必要がある。