マイケル・パーカー

オフシーズン、群馬クレインサンダーズはB1での実績十分な選手たちを、日本人選手と外国籍選手とを問わず次々と獲得する大型補強に成功した。B2の優勝候補筆頭の前評判に違わぬパフォーマンスを見せ、33連勝を含む35勝3敗と首位を独走している。昨シーズンまで千葉ジェッツで中心選手を務め、群馬でもチームの大黒柱であるマイケル・パーカーに、ここまでの活躍を振り返ってもらった。

「今のような成績を残すため、ずっとハードなトレーニングをしてきた」

──まずは、この驚異的な成績についてどう感じているかを教えてください。

B2でとても良いパフォーマンスができています。でも目指しているのはより高いスタンダードであり、もっとチーム力を高められると思っています。連勝はどのリーグ、どのカテゴリーでもすごい記録なので、驚いている部分はあります。ただ、僕たちは今のような成績を残すためずっとハードなトレーニングをしてきたので、冷静に受け止めている部分もあります。

球団は能力の高い選手を多く集め、そのメンバーでケミストリーを構築できています。コーチも経験豊富で、様々な強みを発揮できるチームになっているので、他のチームが僕らに対応するのは難しいでしょうね。

──今回の移籍が決まった時の心境はどんなものでしたか?

正直に言えば、個人的にこの移籍は予想していませんでした。自分はB1で活躍できる選手だと思っていたし、これがB1の他のチームへの移籍だったら「よくあるビジネスの一部」と受け止めていたでしょう。最初はB2に行くことに驚きもありました。

移籍が決まった直後は、自分がどのようにアジャストすればいいかも分かりませんでした。ただ、メンバーを見ると例えばブライアン・クウェリ、ジャスティン・キーナンはB1でも活躍していて実力は申し分ない。経験豊富な日本人選手も多く、チームはすぐにまとまるだろうと感じました。そうなれば、自分のやるべきことを遂行していくだけです。

環境面で戸惑うことはありませんでした。毎日ハードに練習をして、日々成長していくのを目指すのはどのチームにいても同じです。それに群馬には充実したトレーニングルームがあったり、施設面ではB1チームと遜色がありません。オーナーは、「ビッグクラブを作りたい」と言い、そのためのサポートをしてくれています。

また、過去に千葉で一緒にプレーしていたトレイ(ジョーンズ)、ビッグユウキ(上江田勇樹)と再びチームメートになれたのはうれしかったですね。古牧(昌也)も、最初に会った時は千葉の練習生でしたが、今は群馬でキャプテンを務めています。ベテランとしては、彼のように日本人選手が成長していく手助けをしていきたい。かつてのチームメートとまた一緒にプレーできるのは、一つの大きな輪の中にいるような感覚でとても興味深いことです。

マイケル・パーカー

「5年後も現役を続けることは可能だと感じています」

──ここまでの自身のパフォーマンスをどう評価しますか。

個人としても良いプレーができています。長らく移籍を経験していなかったので最初は馴染むのに苦労しましたが、千葉の時と役割が変わらなかったことで助かった部分があり、今はチームに馴染んでいます。ハードにプレーし、ディフェンスで要となって相手のベストプレーヤーとマッチアップする。リバウンド、パス、チームプレーを遂行し、リーダーとして周囲を引っ張っています。

──初めて経験するB2のレベルについては、どんな印象を持ちましたか。

今シーズンのB2は、これまでに比べてレベルが上がっていると思います。B2の外国籍選手はみんな優れています。昨シーズンまでB1で活躍し、今シーズンはB2でプレーする選手たちは実力があり、中でも得点能力に優れた選手が本当に多いです。例えばウチのキーナン、ブライアンはB1で平均20点近くを挙げていた選手ですから。

──では、群馬の実力についてはどんな手応えを得ていますか。

B1でも今すぐ十分に戦えるチームだと思っています。B1の強豪とも良い勝負ができるはずです。チーム全員がハードワークをしていますし、試合ごとに違った選手が台頭する層の厚さがあります。また、コーチ陣は、みんなが試合に絡んでいけるように見事な仕事をしてくれています。

今シーズンは天皇杯で勝ち進むことを大きな目標の一つとしていました。B1のチームを次々と撃破して衝撃を与えるつもりだったんです。新型コロナウィルスの影響による大会フォーマットの変更で、その機会がなくなったのは残念でした。

──パーカー選手は大ベテランの年齢ですが、この過酷なスケジュールにきつさを感じることはありますか。

タフなスケジュールなのは間違いないですが、あまり気にしていません。コンディションは今も良好だし、若い頃と大きな違いはありません。あと何年プレーできるかは分からないですが、5年後も現役を続けることは可能だと感じています。今は先のことを考えるより、群馬をより高いレベルへと引き上げることに集中しています。

マイケル・パーカー

「自分がチームに勝利をもたらす選手だと見てもらいたい」

──ここまで成績が良いと、周囲から「B1に昇格して当然」と見られますよね。

「B1に絶対に昇格しないといけない」といった重圧で神経質になることはないです。僕はこれまでにもB1ファイナルなど大舞台を経験しているし、チーム全体においても、そういった問題への対処の仕方を分かっているベテランがいます。B1でも好成績を残せるチームとなるため、ステップアップを続けていくだけです。

──シーズン終盤に向けての意気込みを聞かせてください。

自分がチームに勝利をもたらす選手だと見てもらいたい。そのことは常に意識しているし、今シーズンもやれていると思います。群馬で自分が達成すべき仕事は、B1に昇格させ、さらにB1で優勝を狙える実力へと引き上げることです。まだ改善しなければいけない部分はありますが、何をすればいいのかは分かっています。まだ誰も成し遂げていないことですから、その道のりはまだ長いですし、これが僕にとって最後のチャレンジになるかもしれません。今の環境でベストを尽くし、すべての試合に勝つつもりです。

──ファンへのメッセージをお願いします。

群馬ファンの皆さんのサポートに感謝しています。人数制限で多くの人が会場に来ることはできませんが、皆さんのチーム愛は伝っています。引き続き試合に勝って、みんなのハッピーな表情を見たいです。群馬のファンだけでなく、多くのBリーグファンの方たちが僕たちに注目してくれているのはうれしいです。群馬では僕たちの連勝が大きな話題となり、これまで試合を見たことのない人もたくさん会場に来てくれているそうです。Bリーグファンの皆さんも、引き続き群馬に関心を持ってください。