「僕らは全員で戦っている。だからこそ、この勝ち方ができる」
ペリカンズはロケッツを130-101と粉砕し、連勝を4へと伸ばした。エリック・ブレッドソーとスティーブン・アダムスを先発に加えた新生ペリカンズは攻守両面でなかなか噛み合わなかったが、ようやく適切なバランスを見いだしたようだ。
ポイントとなったのはザイオン・ウイリアムソンの起用法だ。今シーズンから指揮を執るスタン・ヴァン・ガンディは「彼をインサイドプレーヤーだと見なしていたが、それが間違いだった。ザイオンはインサイドでもプレーできるが、本質的にはペリメーターの選手だ」と語る。
ロケッツ戦でチームは130得点を挙げたが、ザイオンの得点は20のみ。フィールドゴール試投数10は彼にしては少ない数字だが6本を決め、さらにはフリースローも10本中8本成功と効率の良さが目立つ。さらには7アシストを記録。シーズン平均は2.9だが、この4連勝中のアシストは5.8と倍増している。
「今シーズンの僕はポイントフォワードの役割を与えられて、プレーメークが増えた。チームメートとコーチが僕を信頼して、ボールを預けてくれるおかげだ」とザイオンは言う。「プレーメークは楽しいよ。チームメートを信頼してパスを出している。僕はこれまでもいろんな形で試合に関与したいと思って練習してきた。それが形になっているわけだからね。ゲームを活性化させて勝利に貢献する。僕にとっては喜ばしい役割だよ」
ロンゾ・ボールが速い展開を作り出し、ザイオンがアクセントを加える。そこにブランドン・イングラムの万能性、アダムスの献身的なプレーとブレッドソーの抜け目のなさがハマっている。さらにロケッツ戦ではベンチから出たジョシュ・ハートが20得点17リバウンドの大活躍。リバウンドはザイオンが5、アダムスが4と個人では伸びなかったが、ハートがアグレッシブに飛び込むことでイージーリバウンドを確実に押さえ、その姿勢はインサイドの選手に限らず全員に伝播した。
ザイオンが喜んだのはこの点だ。「今日はすごく良い勝ち方ができたけど、そう思うのはジョシュのような選手の活躍があるからだ。NBAの試合全般に言えるけど、ベンチから出たメンバーがエナジーを出して流れを持っていくチームは強いよね。僕らは全員で戦っている。だからこそ、この勝ち方ができるんだと思う」
ザイオンとイングラムの両エースを周囲がサポートするチームになると思われたペリカンズだが、突出した個ではなくチームで戦うことで攻守が噛み合い、結果を出しつつある。ただ、ザイオンが特別な存在であることに変わりはない。ダブル・ダブルを連発せず、プレータイムも抑えられているが、ロケッツ戦では21分間のプレーで得失点差は脅威の+29。彼がコートに立っていた時間がそのままペリカンズのリードとなった。これはオフェンスだけでなく、ディフェンスでも相当に力を発揮している証拠だ。
若いチームはまだ勝利に飢えている。ヴァン・ガンディは言う。「ペイサーズ戦の勝利は大きかったが、選手たちはそこで満足せず、グリズリーズとロケッツとの試合でさらにパフォーマンスを上げた。特にウチのトップスコアラーであるザイオンとイングラムは互いにアシストし合っている。私は何の指示も出していないのに、彼らは互いのためにプレーメークをして、チャンスを作り出しているんだ」