カーメロ・アンソニー

八村塁越しに放った『自分のシュート』で記録更新

トレイルブレイザーズはウィザーズとの一戦を132-121で制した。32得点のデイミアン・リラードを始めスタメンの5人全員が2桁得点を記録したことに加え、ベンチから出たカーメロ・アンソニーも21得点を挙げ、差を詰められた時間帯こそあれ序盤からリードを守り続けており、CJ・マッカラム、ユスフ・ヌルキッチ、ザック・コリンズとケガ人続出の影響を感じさせない快勝だった。

この試合でカーメロは、NBA通算得点で歴代13位の2万6668点というドミニク・ウィルキンスの記録を更新している。すでに14得点を挙げてこの数字に並んでいた第3クォーター途中、一度オフェンスを組み立て直して右45度の位置までボールを運んだカーメロは、クロスオーバーでディフェンスとの間合いを測り、3ポイントシュートを決めた。

マッチアップしていたのは、以前からカーメロを大好きなプレーヤーと公言している八村塁だ。クイックネスがあり腕も長い八村がピタリと貼り付いていたのだが、カーメロは自分のタイミングで放ったジャンプシュートを落としはしなかった。

試合後の会見で、記録を達成した瞬間の気持ちを聞かれたカーメロはこう答えている。

「テーブルオフィシャルの前を通った時に『おめでとう』と言われて、『ありがとう』と返事をして通り過ぎようとしたんだけど、『何に対してのおめでとう、なんだっけ?』と聞き返して記録のことが分かった(笑)。多くの偉大な選手の数字を追いかけているけど、試合中はプレーに集中しているから気付かないものさ」

キャリア18年目。ケガやスランプを何度も経験しながらも、彼は今も得点を伸ばし続けている。「何をスランプと呼ぶのか分からないけど、ケガを始めいろんなトラブルがある。でも僕はどの試合でも同じシュートを打っている。今はちょっと良いリズムに乗れている気はするけどね。シュートは落ちることもあるけど、修正しようとしすぎないこと。今日もそうで、ここ何試合かシュートが決まらなかったけど何も変えなかった。いつも通りプレーして、シュートを打ったんだ。練習でしっかり自分のシュートを作ること。僕にはシュートバリエーションはない。ただ一つの自分のシュートを打ち続ける。これが僕が点を取る秘訣だ」

昨シーズンはブレイザーズに途中で加わり、新型コロナウイルスの影響で試合数も少なかったが、カーメロは895得点を積み上げた。同じペースで行けば今シーズン中にオスカー・ロバートソン、アキーム・オラジュワンまで抜く。もう少し調子を上げればエルヴィン・ヘイズの2万7313得点を抜いて歴代トップ10に入ることも可能だ。

もっとも、カーメロ自身はこの日そうだったように記録に意識を向けることなくプレーに集中するつもりだ。「僕はこの調子で梯子を上り続けて、キャリアが終わった時に自分がどこにいるのか見てみるよ」との言葉で、会見を締めくくっている。