「もう一緒にバスケができないということを考えるとつらい」
準々決勝で昭和学院を破り、チーム初となるベスト4に進出した高知中央は、準決勝で桜花学園と対戦し、 64-86で敗れた。
高知中央のキャプテンであり、エースでもある井上ひかるはスピード力を生かしたドライブなどでチームを引っ張ってきたが、準決勝の桜花学園戦では、ペイントアタックをしてもヘルプに入られるなど相手に対策されてしまい、井上らしさを出せない時間帯が続いた。それでも、後半に入ると積極性を取り戻して果敢にアタックし、声とプレーでチームメートを鼓舞して、最後まで桜花学園に食らいついた。
高校最後の大会を終えた井上は、「負けて悔しいというのもあるんですが、このチームメートともう一緒にバスケができないということを考えるとつらいです。もっと一緒にやりたかったという気持ちが……」と言うと、涙で言葉を詰まらせた。
今年はインターハイを含め、いろいろな大会が軒並み中止となり、このウインターカップが最初で最後の全国大会に。いつも通り練習ができない期間や今大会に入っても、新型コロナウイルスの影響で試合直前にコートに立てなくなったチームもあった。そんな普通ではない環境の中で、キャプテンとしてチームを引っ張ってきた井上は、「チームをまとめるのは本当に大変で、先生から言われることも多いのでキツかったです。そんな中でも、3年生のみんなが支えてくれて、チームメートがいたから乗り越えられました」と仲間への感謝を語る。
「来年こそはもう一度メインコートに戻ってきて優勝してほしい」
高知中央は今回が4回目のウインターカップ出場で、2017年大会は2回戦敗退、2018年大会は準々決勝敗退、昨年は2回戦敗退となっていた。そして今大会で初めてメインコートの舞台に立つことができた。井上は「ずっとベスト4を目標にやって来たので達成はできましたが、優勝したいという気持ちはありました。来年こそはもう一度メインコートに戻ってきて、優勝してほしいです」と後輩に思いを託す。
決勝の舞台には立つことができなかったが、メインコートでプレーできたことは、高知中央にとって大きな意味がある。「やっぱり一つのコートということで注目度もすごく上がったと思うし、緊張することもありました。でも、最後までみんなで楽しく笑顔でプレーできたので良かったです」
準決勝で敗れたものの、高校生活最後の試合をあこがれのメインコートで戦い、「楽しかった」と言える人は多くない。キャプテンの思いを引き継いだ今後の高知中央と、新たな道に進む井上の今後の活躍に期待したい。