「力のある選手たちなので期待はしているんですけど……」
優勝候補の筆頭である福岡第一が2回戦で県立海部と対戦。試合開始直後こそもつれたものの、第1クォーター半ばすぎからギアを上げてリードを広げ、前半終了時点で49-24とダブルスコア。後半も危なげなく試合を進め、88-65で勝利した。
しかし、チームを率いる井手口孝コーチは「昨日に引き続いて、あまり良い試合ではないですね」と渋い表情で取材に応じた。
「スタートの5人だけでは厳しい。何を迷っているのか分からないけど。3年生が3年生らしいプレーをしっかりやることによって、2年生が未熟な中でも思い切ってプレーして良い経験ができるわけで、3年生がミスをしているのでは話にならない。相手ではなく自分たちの問題です。海部高校さんは去年のインターハイでもやらせていただいていて、十分研究されてやられていますけど、それを上回るようなオフェンスやディフェンスをやらないと勝てないわけですから、日頃の甘さが出ているんじゃないかな。よく分かりませんね。気持ちが入りすぎているのか、抜けすぎているのか」
終始20点以上、時には30点差と優位を保って勝ってはいるが、井手口コーチが見ているのはこの先の戦いだ。「高校生だから、その日その日でできる、できないはあります。もちろん全部が良い方に循環したら負けません。ただ、今日のゲームの点差が離れている中できちっとした自分たちのバスケットができないと、本当に競って苦しい時にそういうプレーができないわけですから」
もともと今大会の準備期間の時点で、昨年のチームと比較した時に「スタートのレベルは少し落ちるかもしれませんが、當山修梧も砂川琉勇も良い、佐藤涼成も捨てがたいという感じで、7~8人で上手く回せます」と今年のチームを評価していた。ところがウインターカップが始まってみたら、目論見とは違う緩みが出ている。
「スタートの選手は良いんですよ。バックアップをもうちょっと。バックアップの選手に頼らないといけない時間帯なりゲームが出てきます。今年はそういうチーム作りをしてきました。それなりに力のある選手たちなので期待はしているんですけど、なんかスッキリさせられていません」
ハーパー「今日もセカンドチームのディフェンスが全然ダメでした」
福岡第一のエース、ハーパージャン・ローレンス・ジュニアはタイムシェアで20分のみの出場ながら、11得点6リバウンド6アシスト5スティールと攻守に活躍した。「相手にアンダーで守られたのもあるんですけど、自分の持ち味のドライブがなかなか出せなかったのですが、そこで3ポイントシュートを1本決めたのがすごく良かったです。そこから相手はスクリーンの前に入って、そこで自分から(キエキエトピー)アリへの合わせができるようになったので、それが良かったですね」
自身のパフォーマンスをこう振り返るが、彼もまた見据えるのはこの先の試合であり、それを意識するからこそ課題が出てくる。
「今日もセカンドチームのディフェンスが全然ダメでした。留学生が1年ってこともあるんですけど、やっぱりガード陣がしっかり声を出して盛り上げないといけないのに全然できてなくて、自分も声を出したんですけど上手くいかなかったので、しっかり修正したいです」
松本宗志とともにキャプテンを務めるハーパーは、チーム内では喝を入れる役割。「ダメな時は自分はガッツリ言います。自分では怖いと思っていないですけど、多分周りからはちょっと怖いと思われています」とのこと。
チームメートを怖がらせる必要はないが、喝を入れる必要はある。ウインターカップは彼だけが、スタメンの5人だけが良いパフォーマンスを見せていれば勝てるという大会ではない。井手口コーチが感じている課題を、ハーパーもまた彼なりに感じている。
「ディフェンスが甘いからこそ自分たちのブレイクができていないので、次からはしっかりディフェンスをやっていきたいです」