渡久地政睦

第4クォーターに19得点を固めて逆転勝利

3年連続3回目のウインターカップ出場を果たした県立豊見城。過去2年はともに1回戦で敗退しており、全国1勝を目標に掲げてきた。

1回戦の相手は、大倉颯太を輩出したことで知られ、北信越ブロックを勝ち抜いた強豪の北陸学院だった。第3クォーターを終えて52-57。三度、豊見城の前に全国の壁が立ちはだかるかに思えたが、エースの渡久地政睦が歴史を切り開いた。

最終クォーターも追いかける展開が長く続いたが、残り4分、渡久地の3ポイントシュートで追いつき、直後のオフェンスで再び渡久地のシュートで69-67と逆転した。その後、互いに執念のディフェンスを見せ約3分間スコアが動かなかったが、残り29秒に渡久地が勝負を決定付けるシュートをねじ込み、最終スコア73-69で勝利した。

第4クォーターを21-12としたことで豊見城が勝利を手にしたが、特筆すべきは、渡久地がそのすべてに絡んだことだ。21点中19点を渡久地が稼ぎ、ダメ押しとなる73点目をアシストしたのも渡久地だった。

渡久地は175cmと小さいが、突出したスピードと卓越したボールハンドリングで相手を抜き去り、抜群なジャンプ力でフィニッシュまで持っていく。40分間フル出場し、44得点13リバウンドと圧巻のパフォーマンスでチームを勝利に導いた。

1年生の頃から主力としてプレーしてきただけに、初めて挙げた全国1勝の価値は格別だ。「全国で1勝というのを常に目標に掲げてやってきたので、達成できてうれしいです」と、渡久地は笑顔を見せる。

チームにも渡久地に託すという意思が見てとれた。得点を決めたのは渡久地だが、他の部分でチームメートの助けがあったからこそ、今回のパフォーマンスに繋がったと渡久地は主張する。「前半はシュートが入らなくて苦しんだ部分がありました。オフェンスリバウンドやディフェンスで助けられて、4クォーターに波に乗ったプレーができたと思うので、チームメートに感謝です」

前半は個の打開にこだわり過ぎて、停滞した場面もあった。「大事な時は自分で取るんですけど、視野が狭くなってみんなにボールを触らせたい時間帯も自分が全部やっていました。そうじゃない時はもっとチームメートにボールを触らしてストレスを減らしたい」と、司令塔としての役割も忘れていない。

渡久地はインターハイ予選決勝で過去最高となる40得点を挙げ、自分の代で初めて県大会を制した。そして、この試合では自らの得点記録とチームの歴史を塗り替えた。

念願の全国1勝を達成し、「ベスト8と言わずに決勝までこのままのペースでいきたい」と目標を上方修正した。2回戦の相手は埼玉の強豪、正智深谷。「次もこれを上回るくらい取りたい」と話す渡久地がチームを高みへと導く。