短いオフによる準備不足も、優勝候補の片鱗
ロサンゼルス対決となった開幕戦は、レイカーズが王者として芯の強さを見せれば、昨シーズンの雪辱に燃えるクリッパーズの意地も感じられる好ゲームとなりました。準備期間が短かったことで調整不足の一面もあったものの、ディフェンスが緩かったプレシーズンとは全く違い、ライバル対決に相応しい熱く激しい戦いが繰り広げられました。
試合が始まると新加入のサージ・イバカのアウトサイドシュートでクリッパーズが先手を取りました。新たな武器となるストレッチ5タイプのセンターにより、インサイドを広く保つことができ、カワイ・レナードやポール・ジョージがドライブで侵入しやすくなり、これまでにない連携を見せました。
イバカがベンチに下がると、今度は負けじとイビチャ・ズバッツがオフェンスリバウンドで奮闘し、両センターによる活躍がチームにリズムをもたらし、クリッパーズが第1クォーターで最大22点までリードを広げました。
苦しんだレイカーズですが、大量ビハインドにも慌てることなく、ディフェンスから立て直していきます。やられていたインサイドを固く封じると、クリッパーズのオフェンスは単発のアウトサイドシュートばかりとなり、第2クォーターはフィールドゴールを28%に抑え、ディフェンスリバウンドをしっかりとキープしました。
一方でオフェンスはパスワークで組み立て、フリーで3ポイントシュートを打っても決まらない展開が続きましたが、終わり方がしっかりしたことでカウンターを食らうことがなくなりました。じわじわと点差を詰めていくと、残り3分半から15-5のランで一気にラッシュし点差を2点まで縮めて前半が終わりました。
レイカーズもフィールドゴールは46%しか決まらなかったにもかかわらず、自分たちのリズムを掴んだ瞬間の、あまりにも見事な追い上げ方は、王者だからこそ持つ余裕と自信が漂っており、今シーズンも優勝候補筆頭であることを感じさせました。
クリッパーズからすると、試合開始から勢い良く点差を広げながら、徐々にオフェンスが機能しなくなっていくのは、プレーオフでの敗戦を思い起こさせる試合展開でした。シュートが決まらなくても強さを発揮できるレイカーズを前にして、このまま後半に失速していきそうな雰囲気が漂っていました。
しかし、第3クォーター残り2分からジョージが連続10得点を奪ってそんな空気を一変させると、続く第4クォーターも11得点を奪い、一人で試合を決めてしまう大活躍を見せました。試合序盤とは違い、個人技で次々と突破していくジョージのプレーは、試合終盤に失速を繰り返したプレーオフのリベンジに燃えているようにも見えました。
反撃に出たかったレイカーズでしたが、レブロンやアンソニー・デイビス、ケンタビアス・コールドウェル・ポープが足を痛めるシーンもあり、開幕直後に無理をさせるわけにもいかず、最後はエースをベンチに下げて試合終了を迎えました。チーム全体のシュートが決まらない中で、レブロンはレイアップミスも多く、ファイナルから72日の短いオフで準備不足なのは明らかでした。
まずはクリッパーズが1勝を挙げた開幕戦は、お互いに西カンファレンスの優勝候補同士というライバル対決であり、プレーオフをも占う大事な一戦でした。しかし、強豪だらけの西カンファレンスだけに、気を休める間はありません。次戦はクリッパーズがナゲッツと、レイカーズはマブスとクリスマスゲームで対戦します。ニコラ・ヨキッチやルカ・ドンチッチといった若きスーパースターも自分たちこそが優勝候補であると証明するために向かってくるだけに、次もプレーオフのような激しい戦いが繰り広げられそうです。