篠山&藤井を相手に互角以上に渡り合う
京都ハンナリーズは週末に行われた川崎ブレイブサンダース戦を2つともモノにし、今シーズン初の連勝を記録した。初戦は延長にもつれこんでの105-98、第2戦は84-83と、どちらも激闘の末に挙げたうれしい連勝だった。
第2戦後、小川伸也ヘッドコーチは「一つではないですけど」と前置きした上で、リバウンド数で上回ったことを勝因に挙げた。平均リバウンド数でリーグ9位の川崎に対し、ワースト3位の京都がそれを上回ったのだから、勝因の一つに挙がるのは当然だ。ただ、どんなスポーツでもそうだが、接戦であればあるほど明確な勝因を一つに絞ることは難しい。そんな中、小川ヘッドコーチはポイントガードのパフォーマンスを高く評価した。
「相手のポイントガードに対して、寺嶋(良)と久保田(義章)がよく食らいついていった。そこでアドバンテージを大きく取られてしまうと差が開いてしまう。そういう意味で、若い2人のポイントガードが常に食らいついていってくれたことが大きかった」
川崎のポイントガードは日本代表の篠山竜青、昨シーズンに3冠を受賞した藤井祐眞が主に務めている。2人の持ち味である激しいディフェンスをかいくぐってオフェンスを組み立てるのは簡単ではない。実際、京都は第1クォーターに8個ものターンオーバーを犯し、そこから17点を失った。名前の挙がった久保田も第1クォーターに2つのターンオーバーを犯している。しかし、それ以降はターンオーバーを0に抑え、「後半はプレッシャーにしっかり対応して、ターンオーバーからの失点を2点に抑えたことが良かった」と語った。
ボールを運ぶポイントガードのミスは即失点に繋がる危険性があるが、ボールを失わないことばかりを考えるようでは強気に攻めることができない。特に篠山や藤井といった攻撃的なディフェンスを仕掛けてくる相手に対しては、そのバランスが問われる。
久保田は「プレッシャーは感じました」と相手の圧を認めたが、「誰とマッチアップしようが、気持ちで負けないようにしています」と、その負けん気の強さで最後まで戦い抜いた。勝負どころで3ポイントシュートを決めるなど、20分間の出場で7得点3アシストを挙げ、勝利の立役者となった。
ルーキーながら圧巻のメンタル「自信は持ち続けている」
久保田は九州共立大在学中の昨シーズンに特別指定選手として京都に加入し、今シーズンから本契約となったルーキーだ。これまではプレータイムにばらつきがあり平均で10分強の出場に留まっていたが、ここ3試合連続で20分以上のプレータイムを獲得している。小川ヘッドコーチは期待とともに、出場機会が増加した理由を語った。
「ディフェンスに問題があったので、序盤はなかなか使えなかったです。でも、彼もそれを理解して練習から熱心にやってくれて向上したので、ちょっとずつプレータイムを勝ち取るようになりました。昨日と今日は終盤の残り5分のプレータイムも勝ち取りました。経験こそそこまでないですけど、素晴らしいモノを持っているので、このまま努力を続けていけば素晴らしいポイントガードになると思います」
プレータイムよりもプレーする時間帯を重視する選手がいるように、大事な場面で使われることは選手の価値を決める一つの指標となる。この川崎戦以前は終盤の時間帯を任されることもなかったが、この2試合で指揮官の信頼を自らの手でつかみ取った久保田は「終盤を任されるというのは責任があります。最後まで出れることは次のステップに進めるし、自信にもなります。良い経験ができている」と語った。
さらに久保田からは「自信は持ち続けているので、認め出してくれたんじゃないかと。チャンスをつかむかつかまないかは自分次第だと思っているので」と強気な発言まで飛び出した。
最近のBリーグでは即戦力となるルーキーが増えている。それでも、終盤にコートに立てるルーキーはまだ一握り。クラッチタイムのパフォーマンスがメンタルに左右される性質上、経験の浅いルーキーに託せないという事情が関係しているのだろう。だが、「自信を持ち続けている」との言葉通りのプレーを見せる、ルーキー離れした強靭なメンタルの持ち主である久保田ならば、その限られた選手になれる可能性は十分にある。