ドラフト1位と2位、将来のトップ選手を擁するプーマの野望
バスケットボールシューズのブランドといえば、ナイキ、アディダス、リーボック、アンダーアーマーといったところが思い浮かぶ。そこに風穴を開けようとしているのが老舗スポーツブランドのプーマだ。
サッカー、ランニング、スポーツカジュアルとして強みを持つ一方でバスケットボールのイメージがあまりないプーマは、この激戦区に本格参入するにあたり、ラッパーのジェイZをバスケットボール部門クリエイティブ・コンサルタントに指名した。NBAスター選手とも親交が深いジェイZが、他メーカーと契約するトップ選手を乗り換えさせる可能性もあるだろう。それと同時にプーマは、今後のNBAを背負って立つ若い世代の有望選手をターゲットとしている。
2018年のNBAドラフト全体1位指名のディアンドレ・エイトン、同2位指名のマービン・バグリー3世はともにプーマの契約選手。ナイキのレブロン・ジェームズやアンダーアーマーのステフィン・カリーのキャリアが下り坂に差し掛かった時に、彼らがNBAのトップ選手になれば、当然ながらバスケットボール界におけるプーマの立ち位置は今とは全く異なるものになる。
ところが、ラスベガスで開催中のサマーリーグでは不思議な光景が見られている。一番の注目選手であるエイトンがナイキのシューズを履いてプレーしているのだ。『Bleacher Report』がエイトンに直撃取材をしたところ、意外な答えが返ってきた。なんと、プーマのバスケットボール部門には、エイトンの足(36cm)に合うサイズのシューズがないのだという。
「僕のサイズは18(36cm)なんだ。プーマは可能な限り最高のシューズを準備してくれているんだけど、今は僕のパフォーマンスを優先させて、ナイキのシューズを履くのを認めてもらっている」
NBA選手として18は規格外の大きさというわけではない。規格外と言うならシャキール・オニールの41cmというべきところ。ただ、サイズがないのではどうしようもない。サイズが合うだけで質の伴わないシューズを履くのでは、エイトンは実力を発揮できないし、ケガのリスクもある。プーマにとってもブランドイメージの損失となる。こうしてエイトンはナイキを履いてサマーリーグを戦い、プーマはレギュラーシーズン開幕までにエイトンに最高のシューズを送り届けるという戦いに臨んでいる。