我慢勝負の展開に耐えた末に、山口颯斗がエースの働き
大学バスケットボールの日本一決定戦であるインカレの男子ベスト8が12月11日に行われた。昨年の決勝の再現となった筑波大と専修大の試合は、ロースコアの守り合いを筑波大が64-60で競り勝った。これで筑波大は連覇まであと2勝に迫っている。
試合は序盤から両チームとも激しいプレッシャーをかけ、相手オフェンスのリズムを崩すロースコアの展開に。たが、第1クォーター終盤に筑波大がターンオーバー奪取からのトランジションで得点し、最後もスティールからの速攻で山口颯斗がバスケット・カウントを決め9点のリードを奪う。第2クォーターに入っても、互いに守備の高い強度をキープ。また、オフェンスでは揃ってレイアップやオープンの外角シュートを決めきれないことで得点が伸びず、筑波大の28-20で前半を終えた。
後半に入ると専修大がキング開のドライブで守備を切り崩し、徐々に追い上げていく。そして第4クォーター残り4分半に専修大は重富周希の3ポイントシュートで43-42とついに逆転し、そのまま突き放しにかかるが、筑波大は残り24秒に二上燿の3ポイントシュートで追いつく。だが、専修大も直後のオフェンスでキングのドライブからのパスにうまく合わせてクベマジョセフ・スティーブが残り0.5秒でシューティングファウルを獲得。だが、ここで得たフロースローをスティーブが2本続けて外す。
九死に一生を得てオーバータイムに持ち込んだ筑波大は、専修大の大黒柱である西野曜がファウルアウトとなったことで優位に立ち、残り38秒に山口が4点リードとなる値千金の3ポイントシュートを沈めて激闘を制した。敗れた専修大は第4クォーター最後のスティーブだけでなく、チーム全体でフリースロー25本中11本成功と、半分以下の成功率に終わったのがあまりに痛かった。
山口颯斗「僕が決めてやろうと思っていました」
決勝弾などゲームハイの22得点を挙げ、勝利の立役者となった筑波大の山口だが、「第2クォーターで左足を痛めて力が入らなくなり、第3クォーターでは右ひざにモモカンが入った」と満身創痍だった。しかし、同じ4年生でキャプテンの司令塔、菅原暉が途中で負傷退場した中、4年生のエースとしてここ一番でさすがの活躍を見せた。
この試合、フィールドゴールは26本中8本成功と苦しんだが、「自分の中でも積極性は絶対に失ってはいけないと思っていました。みんなも『最後は颯斗がやれ』と言ってくれました。最後は誰かに頼るのではなく、僕が決めてやろうと思っていました」と、強気のプレーで勝利を引き寄せている。
筑波大が準決勝で当たるのはオータムカップで敗れた大東文化大となる。「オータムカップで悔しい負け方をしました。目標は優勝ですが、まずはリベンジするためにずっと練習をしてきました」と山口は闘志を燃やしている。
一方、同じ4年生エースである専修大の西野にとっては、オーバタイム早々にテクニカルでまさかの退場となってしまった。相手の徹底マークに苦しみ、フィールドゴール19本中5本成功の12得点9リバウンドを挙げるも、7ターンオーバーを喫しており、「個人的には本当に今までで一番ダメな試合でした」と悔いの残る内容となってしまった。
また、チーム全体としても「筑波のディフェンスに圧倒され、自分たちらしさを出せずに点数が取れなかったです。我慢勝負に耐えきれませんでした」と敗因を語る。これで3年連続の決勝進出を逃したことに「自分も後輩に決勝を経験させてあげたかったです」と失望感を隠さない西野だが、一方でまだ順位決定戦が残っている。「最後までやりきって、4年生の姿を見せたい。そこは気持ちを切り替えてやるしかないと思います」と4年生の責任をしっかり全うしていく。