「勝つために臨んだけど、そうはならなかった」
昨シーズン、『バブル』で台風の目となったのはヒートだった。東カンファレンス5位でプレーオフに進出すると、クラブのカルチャーであるハードワークとチームワークがシリーズが進むごとに強化され、NBAファイナルへと進出。最後は激闘のツケが出てケガ人が続出し、レイカーズの前に屈したが、それでも素晴らしいシーズンを送ったことは間違いない。
そのヒートが8週間だけのオフを終えて始動した。チームとその周辺は「もう一度ファイナルに進出して、今度こそ優勝を」と活気づいているが、ジミー・バトラーは気持ちを切り替え、ファイナル進出の余韻は全くない。昨シーズンの出来を誇りに思うかと問われると「それほどでもない」と否定した。
「一番重要なのは勝利だ。勝つために臨んだけど、そうはならなかった。改善できた点や、こうできていればと思う点もあるけど、結局はまたゼロからの挑戦になる。どうすればもっと強いチームになれるか、失敗を繰り返さないことだけを考えている」
ファイナルで敗れたことで優勝への気持ちはより強くなったのでは? との問いも、きっぱりと否定。「どれだけ優勝したいか確かめるのにファイナルで負ける必要はないよ。このチームは優勝できる可能性があると気付くことができた。仲間と一緒に練習して、今度は勝つ方法を見つけるつもりだ。ケガがなければ、もう一度ファイナルまで行けると思う」
バトラーは昨シーズンについて語るのを好んでいないようだった。ファイナルの話は淡々と話すが、新シーズンに向けた話になると急に前のめりになる。「これまで一緒に戦った仲間には愛情とリスペクトがあるよ。勝利のために身体を投げ打って戦ってくれた。チームを去った選手はステップアップしたわけだから、良かったと思う。移籍はバスケの一部だし、人生の一部でもある。新たに加入してきた選手もリスペクトするし、それがこのチームのやり方だ。僕らがやっていることはすべて、勝つためなんだ」
若手の成長を助けるという自分の役割にも前向きだ。「自分が学んだことを伝えたい。僕もすべての疑問に対する答えを持っているわけじゃないから、サポートするだけじゃなく分からないことは学ぼうと思う。僕が分からないことは他のチームメートに聞けばいい。僕よりも長く活躍してきた選手もいるし、僕も含めて全員が教え合えばいい」
「練習と試合を通じて、僕たちが仲間であることを学べればいい。ウチはリーグのベストチームの一つだし、優勝できる力がある。でも、昨シーズンも同じことを言っていたけど勝てなかった。周囲の雑音は気にせずやっていきたい。マイアミのジャージーを着て戦うのは僕たちだから。僕たちは他のどのチームにも引けをとらない、それを1年を通して学んでいきたい」