根來新之助、ディフェンスとリバウンドでチームを救う
2週間半ぶりのBリーグ再開。12勝3敗で西地区首位の琉球ゴールデンキングス、10勝5敗で同2位のシーホース三河が対戦した。
三河の鈴木貴美一ヘッドコーチはこの中断期間の取り組みをこう説明する。「だいぶケミストリーが良くなってきた。まずは走ること。そしてディフェンスは1対1を激しくすること。1対1が強くないとチームディフェンスも良くならないので」。そのディフェンスの取り組みが功を奏した。立ち上がりから重い展開の中でディフェンスとリバウンドで琉球と互角に渡り合い、なかなかボールが回らない中でもダバンテ・ガードナーの個人技で得点を奪い先行する。
琉球はセカンドユニットの岸本隆一と船生誠也が運動量で流れを引き戻し、3ポイントシュート攻勢で逆点に成功するが、三河も第2クォーターの立ち上がりに川村卓也がショットクロックのない状況で強引に放った3ポイントシュートをねじ込み、直後のディフェンスでは身体を投げ出してスティールとハッスルしてチームを盛り立てる。前半は両チームとも泥臭く奮闘を続け、差は付かなかった。
そんな試合が動いたのは第3クォーターだ。後半開始早々に三河の大黒柱、ガードナーが個人3つ目のファウルでベンチに下がることに。このクォーター途中にはシェーファー・アヴィ幸樹もファウルトラブルとなり、先発ビッグマンが揃って不在となった。それでも、ここで三河は別の姿を見せる。重量級のガードナーが下がったことでリズムが良くなり、アーリーオフェンスの中でカイル・コリンズワースが人とボールを動かして次々とチャンスを作り出す。
琉球のディフェンスに苦しみながらも強引にシュートをねじ込んでいた前半の攻めとは一転、しっかりとチャンスを作り高確率で決めて得点を伸ばしていく。第3クォーターは10得点の川村と8得点のコリンズワースが2人で8本のシュートをすべて決め、チーム全体でもフィールドゴール17本中13本成功(成功率76.5%)とオフェンスが機能した。
それ以上に光ったのは根來新之助のディフェンスでの踏ん張りだ。ここまでほとんど出場機会のなかった根來だが、チームのピンチに身体を張ったプレーを見せる。さらに、エバンスが強引なポストプレーで根來を押し切ろうとすればシェーン・ウィティングトンが絶妙なタイミングでカバーに入る。逆に岸本がウィティングトンを外に引っ出してスピードのミスマッチを突いた時には根來がカバーして得点を許さない。根來はコーナースリーのチャンスもきっちりと決めて、この時間帯に大きな存在感を見せた。鈴木ヘッドコーチも「試合に出れなくても腐らずに一生懸命練習をして、代表組がいない時に目立った活躍をしていた。勝負どころで使っても活躍すると思っていたし、実際に見えないところでのディフェンスもリバウンドも頑張ってくれた」と称賛する根來の働きだった。
敗れるも意地を見せた琉球「今後に繋がる」
こうして第3クォーターを31-20と圧倒し、第4クォーターにはたっぷり休んだガードナーが戻って来たのだから、試合の趨勢は決したと思われた。琉球がボールへの執着心を見せて食らい付こうとするも、三河が試合をコントロールする。残り1分半、オフボールの動きでファウルを誘った金丸晃輔がフリースローを2本沈めて82-73。だが、ここから琉球はディフェンスのギアをさらに上げ、岸本がタフな3ポイントシュートを連続で沈めて1ポゼッション差に迫る。
それでも残り1分を切り、三河の攻撃を止めなければ勝機が見えない状況でゴール下に強引に入っていくガードナーを止めに行ったクーリーがファウルの判定を受け、このフリースローを2本決められた上にクーリーがファウルアウトになってしまうと、もう打つ手はなかった。最終スコア86-82で三河が激戦を制している。
要所要所でポイントとなる働きを見せた川村卓也は「もしかすると今シーズンで最も内容の良い勝ち方かもしれない。チームで戦い続けたことで勝つことができた」と、結果だけでなく内容にも満足感を得ている様子だった。川村、金丸、ガードナー、コリンズワース、ウィティングトンの5人が2桁得点。先に上げた根來だけでなく柏木真介や長野誠史も要所で良いプレーを見せた。
敗れた琉球にしても、藤田弘輝ヘッドコーチは「第3クォーターでタイムアウトでも流れを切れなかったのは今の僕たちの弱さ。三河のバスケットにははっきりした形がなくアジャストしづらい。選手がコート上で会話しないといけないが、そういった部分の準備不足は責任を感じます」と敗戦を反省しながらも、最後まであきらめずに追いすがった終盤の出来を「僕たちは簡単には負けないことを示せたので、今後に繋がると思う。悔しいゲームだったけど前を向いていきたい」と評価した。