篠山竜青

『日本の新しいスタイル』の習得に手応え

バスケ男子日本代表は、Bリーグの中断期間を活用して強化合宿を行っている。今日は篠山竜青が取材に応じた。今年唯一の代表活動となった2月のアジアカップ予選、チャイニーズタイペイ戦はケガのため不参加。「ワールドカップ以来の合宿となるので、すごく久しぶりな感じ」と篠山は言う。

「ワールドカップを経て、世界と戦っていくために必要なシステムがブラッシュアップされて、新しいシステムに取り組んでいるので充実感があります。オリンピックに向けてこのシステムを使いこなせるように、ポイントガードなので覚えるだけじゃなく使いこなせないといけない。頭を使わないといけな部分、考えることが多いので、刺激的で良い合宿になっています」

ワールドカップでは1勝も挙げられず、世界との差を痛感させられる結果となったが、そこで得た学びをチームとしての実力に変えていくのが今回の合宿の狙い。その具体的な変更点の一つを、篠山はこう説明する。

「オフェンスからディフェンスへの切り替えで、明確にポジショニングであったり、ピックアップするポイントは前よりも注文されることが増えました。オフェンスの終わり方、シュートを打った時のポジションによって誰が戻り、誰がオフェンスリバウンドに行って、その後どこでボールを捕まえるべきなのかを細かくやっています。そういった意味ではピックアップポイントで明確な変化はあります。特にオフェンスからディフェンスの切り替えは早くしたいんだと感じます」

もう一つの例はオフェンスで、「今回取り組んでいるのはファストブレイクとハーフコートセットの間のアーリーオフェンスの形」とのこと。これは今回の合宿には参加していない『海外組』の存在も意識したスタイルだ。

「今回やっているアーリーセットは高い位置から速めにプレーを始めて、よりスペースを広げた状態でペイントにアタックできる形を目指しています。ワールドカップのために用意していたものとは違う新しい考え方で、より快適に走りながらプレーする、今の代表の中心になる八村塁、渡邊雄太、馬場雄大はみんな走れる選手なので、彼らが快適にスペースを使っていけるシステムになっていくと思います。僕はポイントガードなので、出ているメンバーの特徴を生かしながら、同じセットでも2番3番のオプションによっていろんな引き出しがあるので、そこで一人ひとりの個性を生かせるように、引き出しをいつでも開けられるようにしておきたい」

篠山竜青

ロシターとエドワーズに「チームのムードを上げていく」

シーズン中の強化合宿であるために、Bリーグから日本代表へと意識を切り替えるのは簡単ではない。本来この時期に戦うはずだったアジアカップ予選の試合は新型コロナウイルスの影響で延期となり、試合のスケジュールがないまま練習だけを続ける難しさもある。これに対して篠山は「試合がないのでもどかしい気持ちになりますけど、良い雰囲気で力を蓄えられているんじゃないか」とあくまで前向きだ。

篠山によれば、久々の代表合宿でも練習の強度やリバウンドに対する意識の向上を感じるとのこと。「特に(ライアン)ロシター選手と(ギャビン)エドワーズ選手が2人でバチバチやりながらチームのムードを上げていく。みんなでもっともっと高くしていく雰囲気ができています。せっかく世界と戦っていろいろな経験をして帰ってきているので、あのワールドカップを忘れることなく、常にあの試合をイメージしながらやらなきゃいけない」

間違いなくチームの中心となる八村、渡邊、馬場の『海外組』が合宿不参加のままチームを作っていく難しさについて、「言葉にするとシンプルですが、常にイメージしながらやれるかどうか」と篠山は言う。

「一つひとつのプレーに対して『こいつだったらこう』というイメージを頭の中にしっかり描くこと。そこはポイントガードとして川崎でも10年ぐらい意識しているので、むしろ自分の得意な部分。常に頭を使ってやれています。僕自身はいつ彼らが帰って来てもやれる自信はあります」