勝敗を分けたのはラスト5分のリバウンドとファウル
秋田ノーザンハピネッツが宇都宮ブレックスをホームに迎えた水曜ナイトゲーム。東地区首位の宇都宮と終盤まで熾烈な戦いを繰り広げたが、69-72と競り負けた。
先に主導権を握ったのは秋田だ。前線からプレッシャーをかけ、さらにオフボールでも全員が激しくマークして宇都宮にオフェンスを組み立てさせない。大浦颯太と長谷川暢の2ガードのボールプッシュでトランジションを繰り出し、7-0と上々の立ち上がりを見せる。宇都宮のピック&ロールに対してもブリッツで強烈なプレッシャーをかけてミスを誘発し、さらに第1クォーターからチェンジングディフェンスを行うなど攻めのディフェンスを遂行した。
秋田のプレッシャーに押され自分たちのバスケットができない宇都宮は、開始6分でライアン・ロシター以外の先発メンバーを全員交代させたのを機に流れを引き戻す。前からのプレッシャーディフェンスで秋田のトランジションを封じると、宇都宮はハーフコートでじっくりと攻めてLJ・ピークやロシターのシュートに繋ぎ、15-15と同点として第1クォーターを終える。
その後、第2クォーターは宇都宮がターンオーバーからの得点を8-1にするなどしてリズムをつかみ、21-14と圧倒する。しかし、第3クォーターでは秋田がゾーンディフェンスからのトランジションバスケを遂行することで24-16とやり返し、53-52と秋田の1点リードで最終クォーターを迎える。
最終クォーターに入っても一進一退の戦いが続く。秋田はゾーンディフェンスで、宇都宮にインサイドからの得点を与えない。対する宇都宮は安齋竜三ヘッドコーチが「残り5分ぐらいからズレを作ってシュートを打ったり、フリースローに持って行けたのが勝ちに繋がった」と語ったように、3ポイントシュートで攻めつつ、わずかなスペースを見つけては比江島慎やジェフ・ギブスがペイントに入りファウルを誘ってリズムをつかんでいく。宇都宮は秋田のゾーンに苦戦し攻めあぐねる時もあったが、我慢してボールを回すことでチームでシュートチャンスを作っていった。
65-65の同点で迎えた残り37秒、ドライブした比江島がディフェンスを引き寄せてキックアウト、フリーになった鵤誠司が沈めた3ポイントシュートが決定打となった。第4クォーターの立ち上がりは秋田のペースだったが、フリースローを9-1、オフェンスリバウンドを7-3とした宇都宮が接戦を制した。また、ターンオーバーは秋田が16本、宇都宮が15本とあまり変わらなかったが、ターンオーバーからの得点が9点の秋田に対し、宇都宮は19点と相手のミスを得点に繋げるしたたかさが光った。
伊藤駿「僕たちはもっと強くなる」
勝利した宇都宮の安齋ヘッドコーチは、試合後にこう総括した。「出だしから消極的な部分やチームルールを守れていないディフェンスが多くてビハインドになりました。課題は多かったですが、こういうゲームを勝ちきるのは今シーズンの目標でもあるので、最後は我慢して勝ちきれたことは評価して良いと思います」
敗れた秋田の前田顕蔵ヘッドコーチは、会見の第一声で「非常に悔しいです」とコメント。「選手も非常に悔しいと思うし、こういうゲームで勝ちきれるようにならないと強いチームにはなれないと思います。選手はステップアップしているし奮闘してくれたけど、僕たちがもう一つ上のレベルに行くと考えたら、今日はリバウンドをやられましたがそういう基本の部分やシュートを決めきる力をチームとして成長しないといけないと実感したゲームでした」
伊藤駿はこの試合で流れが宇都宮に行きそうな時にタフショットをねじ込むなどして、チームハイの17得点を記録したが、「得点は良かったですが、結局はチームを勝たせないと意味がないですし、もっと積極的にやれば良かったなと思います」と課題を挙げた。
それでも東地区の首位を走る宇都宮を最後まで苦しめる戦いぶりに「昨シーズンや開幕当初に比べたら、チームとして一人ひとりが少しずつではありますけどゲームを分かって来たと感じます」と、伊藤はチームとしての成長を感じ取ってもいる。また、宇都宮と対戦したことであらためて感じたこともある。「外国籍選手も含めて、全員が勝負どころ理解して挑まないとこういう競った試合は落としてしまうし、宇都宮はみんなが締める部分を分かっていると感じました」
接戦をモノにするかしないかは『共通認識の差』と言うのは簡単で、それをチームに落とし込むことが重要だ。「そういうのは言ってすぐに変わるものではないと思っているので、やっていくしかないのかなとは思います。ただ、場面場面でコミュニケーションを取っていくことでも変わってくると思います。コミュニケーションだけじゃなく経験も大事ですが、僕たちはそれができればもっと強くなると思います」
秋田は次節で千葉ジェッツとの対戦となりタフな戦いが続くが、東地区の上位チームに勝ちきることができればチームとしても自信がつき、前田ヘッドコーチが言う『もう一つ上のレベル』に行けるはずだ。
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