琉球はバランスの良い攻めで一気に畳みかける
11月8日、琉球ゴールデンキングスは敵地で川崎ブレイブサンダースと対戦。積極的なインサイドアタックを起点としてバランスの取れたオフェンスで得点を重ね89-83と、リーグ屈指の堅守を誇る川崎を攻略し前日に続いての勝利を挙げた。
第1クォーター、川崎はファウルトラブルもあって第1戦では前半5得点のみだったエースのニック・ファジーカスが出だしからエンジン全開。スイッチで日本人選手とのミスマッチを作り出してのアタックから高確率でシュートを沈め、このクォーターだけで12得点をマーク。一方、琉球もジャック・クーリーが得意のセカンドチャンスからのバスケット・カウントを2本決めるなど10得点と互いのビッグマンがチームを牽引し、川崎が20得点、琉球が17得点と互角のスタートとなる。
第2クォーター、川崎は激しい守備で琉球にタフショットを強いることでリズムをつかむ。攻撃では持ち前のコンビプレーで守備のズレを作ることで、このクォーターはフィールドゴール11本中8本成功と高確率でシュートを沈め終盤にリードを2桁に広げる。しかし、琉球はここからドウェイン・エバンスのスピードのミスマッチをついたドライブや岸本隆一の長距離砲で巻き返す。
川崎の5点リードで迎えた第3クォーター、琉球のタフな守りに川崎のミスが目立ってくる。これで琉球のトランディションが出てくるとエバンスの速攻で逆転。さらにインサイドアタックからのパスアウトと理想的な形で3ポイントシュートを作り出し、岸本が連続で沈める。エバンス、クーリーのインサイドアタックも光り30-17とビッグクォーターを作り出して琉球が一気に逆転する
第4クォーター、琉球は引き続き内と外からバランスよく得点を重ね残り2分で10点リードに。このまま琉球が余裕を持って逃げ切ると思われたが、川崎も意地を見せファジーカスが本日40得点目の3ポイントシュートを沈め残り35秒で3点差に迫る。
しかし、琉球は直後のオフェンスで並里成がクーリーのスクリーンをうまく使ってゴール下に切れ込みレイアップ。これがダメ押しとなり、琉球が優勝候補相手に価値ある同一カード連勝を達成した。
「ファイトできたことで勝ち負けに関係なく成長を感じる」
琉球の藤田弘輝ヘッドコーチは「アウェーの地で強い川崎さん相手に2日間勝ち切れたのは喜ばしいことです。そして、2日間ファイトできたことで勝ち負けに関係なく成長を感じることができました。ただ、両日とも第4クォーターに詰めの甘いところを見せてしまいました。しっかり成長を続け今後も戦っていきたいです」と充実の2日間を総括する。
今節、琉球にとってキム・ティリ、エバンスの両外国籍の揃い踏みなど、ようやく今シーズン初めてフルメンバーで戦えた。その手応えを指揮官は語る。「キム・ティリ、ドウェイン・エバンスは、僕たちのやりたいバスケットを表現してくれる2人です。トランディションで走り、オフェンスでボールを動かせる。ペイントにアタックし、2人とも3ポイントを打てます。彼らがすごく機能するのは予想通りですし、ディフェンスもファイトしてくれるのでチーム力が上がってきました」
琉球にとって、アウェーで難敵の川崎相手に2連勝したことは大きな自信になるもの。優勝候補の一角へと食い込めるポテンシャルを示す戦いぶりだったが、藤田ヘッドコーチは自軍の立ち位置についてあくまで冷静だ。
「言ってもレギュラーシーズン 60試合の内の2試合での勝利です。チャンピオンシップで川崎さんに2試合勝てるかと言ったら、今の自分たちはそういうチームではない。優勝を狙っていますけど、まだまだチャレンジャーです。川崎、A東京、千葉、宇都宮が抜けていると皆さんが話している中、この4チームに戦っていけるチームを作っていきたいと思います」
「バランス良く点が取れるようにチーム力を上げていきたい」
一方、川崎の佐藤賢次ヘッドコーチはこう振り返る。「良い入り方でしたが、後半に相手のディフェンスの強度が高くなったのと、エバンス選手が起点となりプッシュされたところで流れを持っていかれました。レフェリーと戦うところもありました。最後、もう一回流れを持ってくることはできましたけど、勝ち切れなかったのは自分の責任だと思います」
ファジーカスが40得点とエースの意地を見せる一方、彼に続く得点が辻直人の10得点と孤軍奮闘になったことをこう語る。「相手のディフェンスがスイッチで対応して、ズレを作らないようにしていたので、ある程度はニックに得点が偏る気はしていました。そこはプラン通りでしたが、終わった時に1人で40点はバランスが良くない。もう少しバランス良く点が取れるようにチーム力を上げていきたいと思います」
昨シーズンにはなかった同一カードの連敗を喫したことに「連敗は重く受けとめます。良い薬になるとは思っていないです。今シーズンは特に一つずつ勝っていかなければいけない。課題を見つけて前に進むしかないです」と続ける。
川崎は連敗という結果に加え、マティアス・カルファニを故障で欠く中、後半にはさらにジョーダン・ヒースが負傷退場。怪我の詳細は不明だが、水曜日にはリーグ随一のインサイド陣を千葉ジェッツが相手と、大きな踏ん張りところを迎える。
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