アイザイア・マーフィー

広島ドラゴンフライズに加わりB1デビューを果たしたアイザイア・マーフィーは、ルーキーながらこれまでの10試合すべてで先発を務め、平均13.1得点と存在感を発揮している。エースのグレゴリー・エチェニケを中心に強力インサイド陣を擁する広島において、マーフィーのドライブは素晴らしいアクセントとなっている。もっともチームは3勝7敗と黒星先行。ルーキーのマーフィーを始めとする『個の力』をチームとしてどう組み合わせるかが今後のポイントになる。そんな彼にBリーグでの手応えと、チームが勝つために必要なことを聞いた。

「B1でも通用すると手応えを感じています」

──広島での生活は慣れましたか?

そうですね。広島の人たちは本当に良い方たちばかりで、ファンの方もすごくサポートしてくれています。それに外に出た時は結構な頻度で「写真を撮ってください」と声をかけられます(笑)。野球と比べるとそこまでですけど、広島にバスケットが浸透しているんだなと感じますね。日本語も今は勉強中ですが少しずつ分かるようになってきて、「広島での生活は慣れましたか?」ぐらいの会話だと理解できます。ただ、日本語で返すのはまだ難しいですね。

──では、バスケットについて聞かせてください。開幕から10試合を終えましたが、Bリーグでの手応えを教えてください。

Bリーグは思っていたよりも大きなリーグだというのが第一印象でした。アメリカにいる時はそこまで知らなかったですが、本当に大きくて人気があるリーグだなと感じましたね。さすがにアメリカほどではないですけど、バスケットが日本でもすごく盛り上がっていて驚いています。

プレー面ではB1でも通用すると手応えを感じています。特に僕の身体能力は結構通用していると思いますね。スキルに関しても相手と対等に渡り合えていると思います。シュートやリバウンド、ブロック、オールラウンドに走ることなど、すべてのスキルでやり合えていると思うし、もっと伸ばしていきたいです。

──その中でも特に伸ばしたい部分はどこですか?

全部伸ばしたいですが、強いて言うならシュート力です。もっとアテンプト数を増やして、今よりもシュートが入るようになれば、チームにもっと貢献できると思っているので。

アイザイア・マーフィー

「スコアに取りに行くことしか考えていません」

──マーフィー選手の果敢なドライブは大きな武器ですが、相手チームも警戒してきます。それでも一度ドライブに行ったら強引にフィニッシュまで持って行くシーンが目立ちます。あそこでパスという選択肢はあまり考えませんか?

そうですね。僕はドライブする時にはスコアを取りに行くことしか考えていません。確かにドライブするとディフェンスが寄ってくるので、パスだったり、他の余計なことを考えてしまう時もあります。それでも僕の考えとして、ドライブした時は絶対に得点を決めて帰ってくる、というのが一番にあります。ドライブしてスコアできなかった時は「パスをした方が良かったかな」と考える時も正直あります。ただ、そこの状況判断は経験を積むしかないのかなと思っています。

──どのチームもマーフィー選手のドライブ対策はしてくると思います。どうやったら止められますか?(笑)

止められないんじゃないかな(笑)。僕に勢いがついちゃったら、僕の前にディフェンスが入ることは結構難しいと思うので、多分止められないと思います。

──得点面で言えば、開幕からの10試合で平均13.1得点を記録しています。この数字はどう受け止めていますか?

僕がチームの得点源だと言われていて、僕を生かすようなセットプレーがあります。それもあってチームの中でも良いポジションに立たせてもらっていると思います。広島では僕の力を最大限に発揮できるので、練習も試合もやっていて本当に楽しいです。

──先ほど『状況判断』という言葉が出ました。オフシーズンの取材でも「Bリーグにアジャストするには判断力が大切」と言っていましたが、10試合を終えてどうですか?

正直、最初の何試合かはどうしたら良いのか分からないような状況が続いていました。アメリカと日本のバスケはちょっと違うんですが、それ以上に大学バスケとプロは全く違うので、そこは経験を積んでプロのバスケットにアジャストしていかないといけません。ただ、開幕時に比べると徐々にですが、状況判断もできるようになっていると思いますね。

アイザイア・マーフィー

「コンボガードになることを目指しています」

──では、チームについて聞かせてください。これまで強豪との戦いが続いたこともあり、3勝7敗と負け越しています。

7敗の中でも勝てた試合は何試合かありました。結果的には3勝7敗ですけど、僕の感覚だと逆に7勝3敗になっていてもおかしくはないと思っています。ただ、アスリートは勝つことが重要なので、そこはしっかりと頑張って勝ちに繋げていきたいです。

──確かに、ラスト2分までは勝っていたりと惜しい試合が多く、戦績ほど負けているイメージはありません。競った試合を勝ちきるためには何が必要だと思いますか?

一つはセットプレーを最後までやり抜く、しっかりと組み立てることです。最後の最後で慌ててしまう部分があるので、最後まで自分たちのプレーをやり抜くことが大事です。もう一つは、どうやって勝つかというのを全員が理解しないといけないのかなと思います。『こうすれば勝てる』という共通理解がないと、最後の最後でああやって負けてしまうのかなと感じました。ただ、それは一人ひとりが理解すれば良いということではなくて、チーム全体として理解しなければいけない。そこがまだできていないのかなと。その上でチーム全体として、しっかりと落ち着いてゲームを組み立てて行くことが重要です。

──これまでにいろいろな選手とマッチアップしましたが、印象に残っている選手はいますか?

10試合を経て、すごい選手だなと感じる人はたくさんいました。その中でも特にすごいと感じたのがアルバルク東京の田中大貴選手、名古屋ダイヤモンドドルフィンズの齋藤拓実選手、琉球ゴールデンキングスの並里成選手です。

僕は今2番起用が多いですが、コンボガードになることを目指しています。大学時代はずっとシューティングガードだったので、ポイントガードもできるようになればインパクトがある選手になると思います。その上で将来的には何でもできるオールラウンダーになりたいですね。シュートもリバウンドもできる、ディフェンスもできて、走れるといったすべての面でチームに貢献できるプレーヤーになりたいです。

──アグレッシブなドライブは失わずに、プレーの幅を広げていくんですね。

そうですね。もちろんペネトレーションは続けていきますが、シュートを打てたらもっとプレーの幅も広がると思うので。そのためにもシュート練習もしっかりと頑張ります。

──では、最後に次節の富山グラウジーズ戦への意気込みをお願いします。

富山は本当に素晴らしいチームなので、しっかりと一つひとつ自分たちのプレーに集中して、勝ちに繋げていきたいです。

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