レブロン・ジェームズ

「正しい情報を伝えたい、より良いコミュニティにしたい」

キャリア4回目のNBA優勝を成し遂げたレブロン・ジェームズは、束の間のオフにもかかわらず次の仕事に精を出している。

レブロンが力を入れているのは、11月3日に実施されるアメリカ合衆国大統領選挙だ。新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、アメリカでは一部の警察官の暴力が引き金となり、多くの国民が国に対して人種差別撲滅を訴える活動を続けている。

NBAも社会情勢を鑑み、シーズン再開後にはコートと選手が着用するジャージーに『Black Lives Matter』などのメッセージを入れ、世界に発信した。プレーオフが開幕した後、ウィスコンシン州ケノーシャで黒人男性のジェイコブ・ブレイクが警察官に撃たれて重傷を負った痛ましい事件が起こると、NBA選手会は前代未聞の試合ボイコットを決行。これだけの決意を見せた選手に対し、リーグと各球団は、今後も人種差別撲滅に向けて選手会と協力することを約束した。

レブロンら強い影響力を持つアスリートたちは、『Black Lives Matter』が盛んになり始めた今年6月、黒人の投票を呼びかける非営利団体『More Than A Vote』を設立した。アメリカで投票権を得るには、住所がある地域の選挙管理委員会に申請をする必要があり、その登録に関する手間が煩雑なため投票権を得ていない市民も少なくない。『More Than A Vote』は、投票権関連の団体と共同で黒人らの有権者登録を呼びかけていく活動を続けている。

レブロンは、再来週に迫った投票に関心を持ってもらうため『New York Times』にこう語っている。

「僕たち市民の多くが、自分の票が意味を持たないと思っている。そういう教育を受けてきたし、そういう制度になってしまっていると考えている人も少なくない。僕は正しい情報を伝えたい。彼らのような人の票がどれだけ重要かを、みんなに知ってもらいたい」

現職のドナルド・トランプ陣営は、黒人票の行方に戦々恐々としていると報じられている。『Black Lives Matter』の活動が盛んになって以降、多くの黒人が大統領選挙により関心を持つようになり、レブロンなどの著名人も投票を促す啓蒙活動を続けている。

前回の選挙では民主党のヒラリー・クリントンを支持し、トランプ大統領を批判してきたレブロンだが、今回のインタビューでは特定の候補者の名前は出さなかった。

「誰ともやり合いたくはない。彼(トランプ大統領)とだってやり合うつもりはない。でも僕たちは、より良いコミュニティにしたい。今こそ変化を起こすチャンスなんだ」