パブロ・アギラール

「ゲームプランを信じて実行することの大切さを学んだ」

10月16日の広島ドラゴンフライズ戦、川崎ブレイブサンダースは序盤から主導権を握ると、第3クォーターに大きく突き放し99-64で圧勝した。この試合、第1クォーターだけで16得点とチームに勢いをもたらしたニック・ファジーカスとともに大きなインパクトを与えたのがパブロ・アギラールだ。

広島の外国籍選手を見るとグレゴリー・エチェニケはフィジカルに強いビッグマンだが、残りのジャマリ・トレイラー、トーマス・ケネディはスピードを持ち味とするフォワードで、ゴール下での肉弾戦が得意なタイプではない。それもあって、川崎の佐藤賢次ヘッドコーチは「エチェニケ選手以外のところではサイズのアドバンテージがあると思っていました」と試合後に語っていた。このアドバンテージを生かして大暴れしたのがアギラールだ。

この試合、4番、もしくは3番でプレーしたアギラールは24分の出場で16得点15リバウンド5アシスト2スティール1ブロックと持ち味であるオールラウンダーぶりを存分に披露。中でもサイズの優位を生かして8オフェンスリバウンドを稼ぎ、川崎の厚みのあるオフェンスを導いていた。

「今日は前半からゲームプランをしっかり遂行できたことが勝ちに繋がりました。オフェンス面では良いシュートを打って決めきる。ディフェンスはお互いに助け合ってリバウンドを取り、チームディフェンスをハードにしてスティールに繋げることができました。ゲームプランを信じて実行することの大切さを学んだと思います」

このようにアギラールは試合を総括する。そして、先発から使いチームに大きな勢いを与えたニック・ファジーカスと2人の外国籍選手が同時にプレーするビッグラインアップについて「自分たちにとって大きな武器」と自信を見せる。

「僕とマティアス(カルファニ)は3番もできる。J(ジョーダン・ヒース)とニックが4番、5番もプレーできます。これによっていろいろな戦略を立てやすい。特にディフェンス面では、自分たちの求めているものを実行するのにビッグラインアップは重要になってきます。また、ガードにはこの布陣をサポートできる選手が揃っており、チームとして良い武器になっていると思います」

川崎ブレイブサンダース

「他の選手と連携を取りながら育てていきたい」

このビッグラインナップを今後より強力なオプションにしていくには何よりも実戦での経験を積み重ねていくことが大切と考える。「練習でしっかりやっていますが、試合で完成度を高めていくことがすごく大事。ビッグラインナップはまだ未完成だと思っているので、これからも他の選手と連携を取りながら育てていきたいです」

ビッグラインアップが発展途上であることに加え、アギラール自身もこれまでプレーしていたスペインとは全くスタイルが異なるBリーグでのプレーにまだ適応している最中だ。ただ、「アジャストするために何か特別なことをするわけではなく、コーチ、チームが求めていることを遂行していくが一番大事。それをしていければ段々と慣れていけます」とやるべきことは把握している。

5連勝に向け、今日の第2戦は「また違った試合になると思うので、しっかりした準備をしていきたい」とアギラールは意気込みを語る。ゴール下での力強いアタックに3ポイントシュート、そして視野の広さと非凡なパスセンスで攻撃の起点にもなれる。まだ、チームに馴染んでいる最中でありながらその多彩さによって、すでに川崎に欠かせない潤滑油となっている彼が第1戦のような存在感を見せれば、自ずとチームの連勝は伸びるはずだ。